皆既月食 2000年7月16日


 今までにも皆既月食を見たことはあったんですが、あまり興味をもってはいませんでした。ところが今回の皆既月食時間は今世紀最長で、おりしも近づきつつあるリニア彗星(C/1999S4)が北の空に見えるとの前評判につられ、機材を整えて出かけることにしました。
 月食だけならともかく、かなり暗いらしい彗星も見るとなると、光害の多い富山平野を抜け出すしかありません。北の空の観測条件も良さそうな所として、奥能登・石川県柳田村の“星の観察館「満天星」”を目的地に出発しました。
 ところが北上を続けるうちしだいに雲が多くなり、穴水町あたりから空が見えなくなってきました。実は出発前に、インターネットでひまわりの気象データをチェックしてたんですが、どうも朝から能登半島の雲が消えず、もしかしたらこのまま‥‥ という不安があったんです。このときすでに夕方5時半、「満天星」が3〜4時間後に快晴になっている確率は低いと思いました。今回は一発勝負で、確実に晴れていることが絶対条件なので、雲から逃れて南下することにしました。
 空をにらみながらたどり着いたのは、七尾市街の7〜8km東、富山湾に面した江泊というところでした。午後7時半、オレンジ色の満月を横目に、北-東-南の方角に視界が開けた段々田んぼの中の農道で、店開きを始めました。


2000.07.16 20:18 ニコンFM10 ニコンズーム35mm〜70mmF3.5〜4.8 フジスーパーGエース800 露出(70mmF8)10秒 石川県七尾市江泊

 こちらからは富山湾の対岸にある、北アルプスから上ってきた月。露出を長めにして、海の照り返しをねらってみました。

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2000.07.16 オリンパスOM-1 ズイコー200mmF4 フジスーパーGエース800 絞りF8(各コマとも) 石川県七尾市江泊

 シャッタースピードごとに並べてみました。やたらとブレているコマもあります。スローのコマでピントが甘く見えるのもブレが原因かもしれません。
 足場が路肩で柔らかだったので、そのせいだったか。こういうときは三脚を押さえつけて、脚を土にめり込ませるのが本来のやり方ですが、忘れてました。スローでのブレ対策は当たり前、今後の参考にします。
 皆既月食中も撮影したんですが、1/2秒では写っていませんでした。

2000.07.16 21:44 ビクセンVC200L(20cm 1800mm F9)直焦 フジスーパーGエース800 露出1/15秒 石川県七尾市江泊

 これは天体望遠鏡での撮影です。
 月食が始まってから4分の3ほど進んだ月。ふだん見る欠けた月とは違い、影の部分が赤みを帯びています。
2000.07.16 21:59 ビクセンVC200L直焦 フジスーパーGエース800 露出1/4秒 石川県七尾市江泊

 皆既食3分前の月。光が当たっているのが、ウサギの耳の先(カニのはさみの先?)だけになりました。
皆既月食中の画像の掲載は今回は見送りです。出来があまりにも悪かった(?)ので。気が向いたら‥



2000.07.16 20:07〜01:15 キャノンF-1 キャノンフィッシュアイ15mmF2.8 フジスーパーGエース800 露出(F16)5時間8分 石川県七尾市江泊

 月食の軌跡を一発勝負、連続露出で撮りました。夕暮れのまだ空の青さが残るうちからシャッターを開いたのが写ってしまい、不自然な感じです。あわてることはなかったんですよね、もう少し暗くなった20:30ごろから撮ってれば十分だったんです。
 月食の後半はまとまった雲が流れてきて月を隠し、所々がとぎれとぎれになりました。

2000.07.16 ミノルタXD コシナ28mmF2.8 フジスーパーGエース800 多重露光(F8)左から20:01, 20:32, 21:03, 21:31, 22:00, 22:30, 23:00, 00:00 各5秒 石川県七尾市江泊

 月食の進み具合を、フィルム1コマに撮ってみました。望遠レンズのフードを利用して遮光キャップを作り、だいたい30分ごとにキャップを外して露光したものです。
 気を付けてはいたんですが、左側と右端が赤色ライトの光でカブってしまいました。雲がかかっていたため、23:30ごろの露光ができませんでした。00:00の露光を最後に、それ以降が撮影の範囲を超えて写っていませんでした。月の軌道を意識しすぎてカメラを傾けたのも、不自然なアングルになりまずかったです。対角で撮れば00:30の月も撮れたかもしれません。それと、20:01、20:32の撮影は捨てて、20:45から30分(あるいは20分)ごとに撮るスケジュールでも良かったかと、いろいろ反省(悔やみ)がありました。
 なかなか期待通りにはいかないものですね。


 皆既月食中、リニア彗星を探しましたがとうとう見つかりませんでした。
 キリン座の前足の部分付近にあると聞いていましたが、どうもそのキリン座もよく見えません。双眼鏡で見える明るさになっている(はず)という予報だったので、星座早見により北極星の下、高度が半分くらいだと見当をつけて50mm×7倍の双眼鏡で探したんですが‥。

 生来のせっかちが支離滅裂な月食観測にしてしまい、自分でがっかりしています。


2000.07.17 OM-1 200mmF4 フジスーパーGエース800 撮影時間・絞り・シャッター時間不明 石川県七尾市江泊

 雲の切れ間からのぞいた朝日。 北アルプスの山並みよりもずっと北側から上ってきました。
 夏の月は冬の太陽のように低く上り、冬の月は夏の太陽のように高く上ります。ちょうど太陽と逆ですね。

 ところで、ディスプレイがCRT(ブラウン管)だと画像の暗部がよく見えないかもしれません。そのときはTFTLCD(液晶ディスプレイ)のパソコンで見てください。


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