夜間強襲の死闘・山城北の陣
私はその日、まったりとした夜を過ごしていた。そう、それは忘れもしない、十一月の末の或る微妙に冷える寒い夜のことであった。その時、私は自らの身に、恐るべき悪魔が忍び寄ってきている事に気が付いていなかった。
夜間戦は少数が大多数に勝つ為に有効な手段である。夜間の暗闇では大部隊はおのが大故に、少数により翻弄されるのである。亦夜間戦は、相手の姿が見えぬ故、同士討ちの危険も高い。それ故、小部隊に適した戦闘法なのである。私は、その時私の身に夜襲の緊急命令が下されようとしているとは考えてもいなかったのである。
その日私は微妙に夜勤明けでへとへとであった。そんな私に、さる人物から連絡が入ったのである。
「飯を食いに行こうぜ」
これを聞くだけでは、何が凄いことなのか分からないと思う。しかし、私に告げられた、その「飯を食いに行く」全貌を説明すれば、その壮絶さがわかるのではないではないかと考え、その作戦内容を公開したい。
〜作戦内容〜
目的地は王将とする。
尚、今回の任務の最終目標は王将で飯を食うことではない。王将で今実地しているスタンプラリーに参加し、スタンプを集めることである。
つまり、王将でスタンプを集めるために、飯を喰らい、そうしてそのスタンプ台帳のコンプリートのみが作戦の目的であるのだ。
それを知ったのは、さる人物が乗る車の姿を借りた音速の戦闘機インテグラの中であった。
しかし、その時はさる人物でさえ気が付いていなかったのである。もっと恐ろしい結幕が我々を待ちかまえていたことに・・・
気を取り直して、爆走。矢っ張り速いね、インテグラは。このスピードに慣れたワシが教習所で「スピード出しすぎ」と怒られる訳が何となくわかったような気がする。
まずは北の独立国家、北山にある宝ヶ池の辺りの王将に向かう。途中小粋に北山通りを曲がったら、何と店先で火が燃えているではないか。まさか、篝火か?
「インテさん、火が燃えてまっすよっ!!!」
「あらまあっ!!!」
後で聞いた話ではアレは本陣らしい。西陣に対抗して出来た、北陣なのだろうか?その謎については現在解明されていない。
そんな感じで、一軒目。ここは小粋に広いではないか。大体和歌山にある王将はこんな感じの奴ばっかなんやケドね。京都の方のこぢんまりとした店の方が、和歌山出身の私としては珍しいのですよ。てっきり王将という物は郊外店ばかり考えていたのですが、流石京都が本場の王将だ。しかもめっちゃ沢山あるし。
取り敢えず、店に入る。何となく、ラーメンをご注文。確か四川風激辛ラーメンだったと思うが、これが亦激辛ラーメンの名に恥じず、辛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!ホントに苦労しました、ハイ。時々むせながら、平らげる。
先ずは幸先良くスタンプゲット!!!威勢良く二軒目に向かう。待ってろよ、王将!!!(とは言えさっきまで飯を食っていたのも王将だが・・・)
二軒目は白川通りを爆走!!!確か前天下一品総本店に来た時に前を通り過ぎたはず。しかし、あの駐車場はインチキであった。よくぞ止めた物よ。見事な切り返しであった。
ずびずばっと爆走し、簡単に二軒目を発見。そうしてその前にはついこの前潰れて、ポイントカードを紙屑同然にまでしてくれたマジカルブレーンが・・・こんな所に残党があったのか・・・
小粋に違法Uターンで道を変え、駐車場に進入し店内に進入。ここも割合大きい。
私はF家伝統の鳥料理(鶏肉の味噌炒め)が弐軒目のご注文。これはなかなか美味かった。満足満足。味噌と鶏の何とも言えないハーモニー。
解説しよう、F家で鳥を食うと言うことは、正しく正賓中の正賓をもてなす時のメニューなのだ。F家の人々との会食で鳥を食うことを進められれば、君も半ばF家の一員なのである。
よっしゃと言う感じで三軒目に向かう。三軒目は色々検討した結果太子道の辺りにある王将に行くことにした。しかし、我らの前に恐るべき難敵が立ちふさがったのである。それは「一方通行」である。京都の道に一方通行は多い。多い。多い。んで、ぐるぐる回らされる我ら。途中、見失うし。しかもこんな所にあったんかい!!!と言うくらい微妙な感じ。
しかし、店内に入った我々を待っていた言葉は・・・
「すいません、十時までなんですよ」
「・・・・・・(絶句)」
時計を見ると、10:01分。いいじゃん、一分くらい。くそう、あの時ぐるぐる迷走していなければ・・・致し方なく別の店に行くことに。
四条大宮にある王将に決定。途中我が新居予定のマンションをインテ殿にご紹介。ふふふ、何て分かり易いところに建ってるんだろう。早く引っ越したいな。ってな事を考えている内に王将に到着。小粋に違法駐車をして店に入る。交番まで僅か100米。まさか公安もこんな足下で違法行為が行われているとは思うまい。
そんな感じでスタンプ三個。取り敢えず、イイカンジの一日でした。
しかし、まだ話は終わらなかった。
その帰り道、太秦周辺で小道から出てきたB男爵を発見。うおうりゃぁと加速し、B男爵が入っていったバイト先の駐車場に進入。追いつめられた彼は、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしておりました。ふふふふふ。
その後小粋にローソンに買い物に行ったら、帰り道に雨に降られてびっしょびしょ。はぁ、ナンテコッタイ。落ちがちゃんと付いている。僕たちって何時もこう。
しかし、話はこれでは終わらなかったのです。次回、壮絶空前絶後・太秦冬の陣〜後編〜に続く。