聖闘士星矢とは?
あらいベアーの独断と偏見による星矢の解説
メジャー路線
聖闘士 星矢は週刊少年ジャンプ誌において1986年1,2合併号〜1990年49号と1990年特別編集ブイジャンプに掲載されていた少年漫画である。つまり、連載終了から、今年で11年めを数える随分古い漫画なわけです。作者は車田正美さんで、同氏の作品には、「リングにかけろ」(以後リンかけ)「男坂」「ビートエックス」などがあるわけだが、星矢を期に、作風が大きく変わっている。リンかけや男坂は、どちらかというと、スポ根や、男気、潔さであるとか「作者の硬派なところ」が良く出来ている作品で、妥協を許さない作者の心意気が読み取れる作品である。それに対し星矢は、作者が1巻の冒頭で述べているように、「最初からメジャー路線を狙って」書かれている作品である。この作品の大きな特徴は、当時の作風に完全に合わせきっているという点である。たとえば当時絶好調であった「キャプテン翼」や「筋肉マン」などのジャンプ全盛期のスポーツでありながら、かなりの非現実性を持つ、技の名前を連呼しながら話しを進めていく作風をしっかりと踏襲していること。これは、リンかけにおいても、同じであるが、星矢の場合、「聖闘士だから何でもいいのだ」という大前提があり、その他の漫画と同一のスタイルを持ちながら、ひとつの斬新さを持っていた。もうひとつの特徴は、それでありながら、車田魂はしっかりと受け継がれているところにある。上述のリンかけや男坂のような、硬派なイメージがしっかり残っている。ちょっと関係はないが、リンかけでびびった、技を見開きで1コマというゴージャスな使い方もしっかり受け継がれてますしね。これは、相変わらず少年ジャンプ誌の某バスO−ド作家が使ってますね(笑)…閑話休題…
そんなわけで、星矢は当時の時代風にあっていたわけで、なんと1巻が刊行されたときにすでにアニメ化が決まると言うまさにメジャー化路線というすごい作品だったのだ。しかし、実際にはそれ以外にも大きな要因があるのだ。現在のRPGの主人公たちの着る鎧。すごく非現実的ですけど…。かっこいいからいいじゃん。この今はやっている日本のゲームシーンなんかに大きな影響を与えているものがあるのだ。
リアルなフォルム「クロスもの」
それは、聖衣(クロス)と呼ばれるものなのだ。当時、というか正確にはもっと前だが、リアルロボットというものがはやっていた時代があった。ゲッターロボやマジンガーZのような、ただボコスカ敵を倒すロボットでなく、フォルムも人間も等身大で、しかも精神描写も等身大の湿っぽいアニメシリーズのことなんだが、これが一大ブームを巻き起こしていた。しかも、当時おもちゃ業界の技術も急速に普及して、これらのリアルロボットを本当にリアルに再現することが可能になっていた。(エルガイムなどの正座できるロボットは当時斬新であった)そんななか、このスマートでメカメカしいフォルムを人間に当てはめるとどうなる。という試みがなされた。それが星矢だったのだ(と私は思う)。全身を聖衣という鎧で身を包んだ少年たち、その生き様は、硬派でそして切ない。さらに、前述のジャンプ的メジャー路線をしっかり守っており、まさに完璧の漫画であったのだ。と私は固く信じたいものだ。
さらにいえば、当時主流になっていた血液型につぐ占いである星座と呼ばれるものを使い、ファンタジーでありながら、どこかオカルティックな要素を取り入れている。それというのも、この聖衣というものは、全天に散らばる88の星座絵をモチーフにしているからである。現在、これらの要素はほとんど主流につかわれているものばかりだが、このメカっぽさとオカルト性をミックスしたのはこれが始めてだと思う。この聖衣という鎧ものは、そのまま「聖衣(クロス)もの」とか「きぐるみもの」と言われ、さまざまな「ばちもの作品」を生んでいき、さらに2番煎じなのにほとんど、失敗がないという流行りップリだった。
最近の主流
ここらへんで、星矢という漫画がどんなに時代に大きな影響を与えていたか分かっていただけたと思う。しかし、実際には、この時期の作品は最近流行りのアニメ、ゲームに大きな影響をあたえているから、対したもんである。たとえば、トライエースの作品。テイルズやSOシリーズで有名だが、声優を使い、技を連呼する。これなど、ほとんど星矢じゃんと思ってしまうのは私だけか…。
「食らえ、真紅の衝撃スターレットニードル!!!!」
「冷徹なる氷結の儀式アイシクルディスアスター!!!!」
さてこの二つのうち、星矢はどっちでしょう?分かります?星矢読んでれば一発で分かりますが、どちらもまるで、最近風ののりでしょ?これが11年も前にやってたんですよ。すごいよこれは。ちなみに答えは上が星矢のキャラ、スコーピオンのミロの技で、下はトライエースの作品「ヴァルキリープロファイル」のキャラ、グレイの必殺技でした。
マニア心をくすぐる
さらに、マニア心をくすぐるたくさんのキャラとややこしいセカンドキャッチ、さまざまな技!とてもすべて覚えずにはいられなくなる。日本人は何とかtionとつく英語が好きなんだそうですが、星矢はここらへんしっかり、気を使っていて、そんな感じの名前ばっかり!
さて問題です。次のうち、星矢にでてくる技はどれでしょう?
@ギャラクシアンエクスプロージョン
Aスターライトエクスプロージョン
Bスターライトエクスティンクション
答えは@が星矢にでてくるジェミニのサガの技で、Bが星矢に出てくるアリエスのムウの技。Aは任天堂のファイアエムブレムの最高魔法でした。ややこしいですねえ。でも、そこがいいんだコレが…
まとめ
なにはともあれ、星矢の面白さが最近の人に伝わればありがたい。さらに、星矢の中にでてくる結構ホントっぽくて実はウソといったSF的理屈もいくつかあり、只でさえバカな日本人をさらにバカにする心遣い、もはや何もいうことはありません。これこそ、世界一のマンガ、ジャパニーズドリームの究極であります。うちの弟は中学1年で、生まれた時にもはや、星矢の放映が終りかかっていたのですが、私の蔵書にある星矢を読んで、技の名前を叫ぶようになっています。ポケモンなんかにも決して負けやせんのです。
終りのほうはほとんど、星矢のベタぼめになってますが、一応批判的な要素もいれたつもりです。しかし、批判をすると、もはや日本のサブカルチャーの批判をすることになってしまうし、オタクに悪いし、俺だってオタクだし、もはや、自己批判になってしまうので、いうことないんですよ。とにかく、いいたいことは絶対に損しないから星矢を読んで!!ということです。私は大学3年時に、学科の控え室に星矢全巻をそろえ、学科のメンバーに布教をしました。今度は私があなたに布教をしようと思います。幸い、最近星矢は再販されたらしいので、新刊を買って読むことも出来ます。また、星矢の中でも、すばらしいと言われる黄金12宮の戦いの7巻〜13巻あたりは、古本屋にも多く出回っているようなので、入手も低額で済ませることが出来ます。この機会に是非、ご購入を…。以上あらいベアーでした。
2000年8月21日