ベジェ曲線で描くイラスト
 〜 イラストをPostScriptベクトルデータに変換する 〜

ベジェ曲線の最大のメリットは、サイズを変えたり変形しても印刷が美しいことです。ビットマップ画像のように解像度を気にする必要がないため、再利用の範囲が広いことから、ベジェ曲線を使ったイラストを主体に描いています。

現在実践しているイラストの簡単な描き方をご紹介します。

ベジェ曲線
PostScriptで扱われる曲線データです。

ベジェ曲線画
「ベジェ曲線」+「線画」ってことで、勝手に付けた名前です。

※コンピュータの一番いいところは、データを何度でも再利用できることです。変形自由のベジェ曲線は、そのメリットを最大限引き出せると思います。

絵を描く
スキャンする
下絵の処理
ベジェ曲線化
中マド処理
塗りの処理
プリントアウト/入稿

 使用アプリケーション:
  • Adobe PhotoShop
  • Adobe Illustrator
  • Adobe Streamline

Adobe PhotoShop
Adobe社のフォトレタッチ用グラフィックソフト
Adobe Illustrator
Adobe社のPostScriptドロー系グラフィックソフト
Adobe Streamline
ビットマップ画像をベジェ曲線に変換するAdobe社のソフト

アプリケーションのバージョン
PhotoShop 3.0以降
Illustrator 5.0以降
Streamline 3.0以降
であれば、作例と同じことができます。

 絵を描く

まず、普通に絵を描きます。
紙に鉛筆で下書きし、ペン入れして消しゴムをかけます。

やっぱペン入れしなきゃダメ?
「鉛筆で描いた下絵を、そのままベジェ曲線化できないものか?そうすればペン入れせずに済む」と無精な私は考えました。はたしてその結果は...

消しゴムはもういらない?
「ゴムかけが好き」なんて人はたぶんいないと思います。消しゴムを使わずに下絵の線を消してしまう魔法はないか試してみました。

 スキャンする

絵をスキャナでコンピュータに読み込みます。
600dpi線画(白黒2値)でスキャンし、PICTフォーマットか、PhotoShopフォーマット(白黒2値、またはグレースケール)で保存します。

どれくらいの解像度でスキャンすべきか?
スキャン解像度は出力線数で決まります。写真などは出力線数の2倍以上、線画は出力解像度と同じが良いとされていますが、ベジェ曲線に変換する場合、そうある必要はないと考えています。ベジェ曲線にきれいに変換できる解像度となるわけですが、それってどんな解像度でしょうか。

 下絵の処理(ホワイトとベタ)

PhotoShopで保存したファイルを開き、汚れや描き損じを修正します。ホワイト*1の第一段階と同じです。ここでできるだけ線をきれいにしたほうが、後の仕上がりがきれいなります。
同時にベタ入れ*2します。

消しゴム、鉛筆ツールなどを使ってホワイト処理。

ベタ入れ。
ペイントツールや自動選択ツールを使うときは、いったんグレースケールにします。

*1)ホワイト
描き損じを白で塗って修正することです。

*2)ベタ入れ
塗りつぶすべき部分を塗りつぶすことです。

ベタの処理
ベタ入れはベジェ曲線化した後、Illustlatorでもできます。しかし、閉じた線は簡単ですが、閉じてない部分は面倒です。ここで済ませたほうが楽かもしれません。
私の場合、ここでベタ入れしていません。Illustlatorで行なうほうが、塗りつぶし部分の色を簡単に変えることができるためです。色を変えていると、ときには思いもしなかったようなおもしろい効果を得られることがあります。

 ベジェ曲線化

Adobe Streamline4.0を使って絵をベジェ曲線に変換します(設定は、v4.0に標準で用意されている「ペン画」設定を使用しています)。
画像の細かさやマシンの速度にもよりますが、作例だと10〜20秒程度でトレースは終了します。
ベジェ曲線化が終了したら、Adobe Illustrator形式で保存します。

Adobe Streamline4.0のトレース直後の画面(赤が曲線、緑が直線)

PhotoShopのトレースパワー
Streamlineと同様、PhotoShopでもベジェ曲線化ができます。

Streamline 3.0でのペン画設定
v3.0にはデフォルトで「ペン画」設定はありません。そのため、自分でペン画用の設定を作る必要があります。

Streamlineがトレースできるサイズ
Streamlineがトレースできる最大と最小のサイズってどれくらいか試してみました。

バッチ処理
Streamlineはバッチ処理機能があるため、たくさんの画像を一括変換できます。また、バックグラウンドで動作するので、その間、他の処理ができます。この点は、PhotoShopを利用したトレースより便利だと思います。

 中マド処理

Illustratorでベジェ曲線化したものを開き、「全てを選択」し、「フィルタ」の「中マド」を実行します。
これにより、線以外は透明の状態になります。

  • マシンのパワーによっては、「中マド」を実行することで画面表示がかなり遅くなることがあります。大きな絵や小さな絵が何点かある場合は、部分的に分けて実行するといいと思います。


図形の位置関係のイメージ図

イメージとしては絵を透明なフィルムの上に描いたような状態です。このため、背面に置いた図形が見えるようになります。

「中マド」フィルタ
「中マド」フィルタは、
複合パス(穴開き図形)
を全体に上手に実行して
くれるフィルタです。解
除には「複合パス」−
「解除」を実行します
が、図形の塗りが元通り
にならないことがありま
す。場合によっては複
製してから処理するなど
の配慮が必要です。

「中マド」の問題点
以前は「画面表示が遅く
なる」「プリンタに負荷
がかかる」などの問題
がありましたが、現在の
マシンスペックだとさほ
ど問題にはならないよ
うです。はっきりとはわ
かりませんが、プリント
(印刷)するとわずかに
線が太くなる感があり
ます(トラッピングによ
る膨らみではありませ
ん)。気になる程度では
ないのですが、小さな穴
開き図形などは印刷段階
でつぶれてしまいます
(一概には言えません
が、0.3〜0.5mm程度の
穴開き図形はつぶれてし
まうと考えておいたほう
がよさそうです)。

 塗りの処理

マンガで言うところのスクリーントーン処理を行ないます。


基本的な方法


ベジェ曲線画の背面に塗り用のレイヤーを作り、そこにスクリーントーンを貼るのと同じ感覚で、ペンツールかフリーハンドツールで線からはみ出さない図形を描きます。
図形に塗りを指定して色付けします。


塗りたい部分が閉じた図形ならそのまま塗りの図形として利用します。

グループ選択ツール(プラスのついた白矢印)で図形が閉じているか確認し、閉じていれば「コピー」し、塗りのレイヤーへ「前面へペースト」(または「背面へペースト」)して塗りを指定します。


直線で作る塗り図形

私はペンツールを使う場合、直線の塗り図形*1を作っています。

線からはみ出さないようにしながらバシバシ直線を打って図形を作っていきます。
これならタブレットがなくても簡単に塗り図形が作れます。


線のないところは自分のカンで適当に作ります(色が薄い場合や80線程度の出力ならば、それほど形にこだわらなくてもうまくいきます)。


その他、以下のような方法を組み合わせて塗りを行なっています。

閉じた図形の塗り
閉じた図形を「カット」&「前面へペースト」していく方法もあります。
グループ選択ツール(プラスのついた白矢印)で図形を選んで「カット」し、「前面へペースト」(または前面のレイヤーへペースト)を実行します。塗りを指定すればOKです。
この方法だとコピーする方法よりデータ量が少なくて済む上、その部分の複合パスが解除されるため、画面表示やプリントアウトにかかる負荷を軽減できます。ただし、その図形内の前面に別の図形がある場合、その図形も同時に「カット」&「前面へペースト」しなければならないなどの注意が必要です。

図形内の前面にある図形(赤)も同時に移動しなければ、それらが見えなくなります。

これを簡単に行なう方法があります。
アートワーク表示にし、図形内に含まれる図形を少しずつ選択しては「隠す」という作業を繰り返し、すべて隠してから「全てを表示」します。すると、隠しておいたすべての図形が選択状態で表示されるので、前面のレイヤーへ「カット」&「前面へペースト」で移します。

*1)直線の塗り図形
直線で複雑な形を作ろうとすると曲線よりアンカーポイントが多くなってしまいますが、直線は曲線よりデータ量が小さいため、ファイルサイズはあまり変わりません。
また、これはプログラミングの経験からのカンでしかないのですが、曲線より直線のほうが描画の演算処理が単純なはずですから、アンカーポイントが多くてもそれほどプリンタに負荷がかからないように思います。

 プリントアウト/入稿

Illustratorからプリントアウトしてできあがり。
出力にはPostScriptレーザプリンタを使用しています。

現在ではデータでの入稿が多くなり、このまま納品して終わりというケースが増えています。

トナー
レーザープリンタはごく普通のコピー機と同じで、紙にトナー粒子を熱着させているそうです。この熱着はあまり強くなく、ちょっとこすったりすると簡単にはがれてしまいます。その防止としてフキサーチフなどのコーティング剤をスプレーするといいと思います(1,000円前後で各メーカからいろいろなタイプが出ています)。

データ入稿での留意
「書類設定」の「プリンタのスクリーン値を使う」を必ずチェックすること、すべてのパスの「パスの属性」を出力解像度に合わせておくことなどです。


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