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| 去年の夏、甑島を訪れた。鹿児島県本土から東シナ海へ２０〜３０キロ程離れた、三つの島からなる列島である。この絵は、本土から西へ最も遠い下甑島の、その中でも西の外れ、片の浦という小さな入江の、河口に面した浜田という集落。大きな岩山が、抱きいだくように、西からの風雨からこの集落を守っている。さらに、岩山の海に突き出たところに、赤い小さな鳥居と祠が建てられていて、西の荒海神を鎮めようとしている。そのように守られている集落であるが、家々の屋根は緩い勾配の寄せ棟が外低く低く抑えられていて、洋からの風雨とともに視線からも身を潜めているかのように感じられた。 スケッチ・文 青山恭之 | |||
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