かつて、瀬戸内海最強の村上水軍が勇壮な海のロマンを広げた芸予海域に、99年愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ『しまなみ海道』が開通。
松山に帰省したおり、父と一緒にこの『しまなみ海道』をわたって憧れだった坂のまち、尾道に行ってみることにしました。
島並みという名の通り、飛び石のように点在する9つの島々を10の橋で結んだ全長60キロの道。
その一つ愛媛県の大三島と広島県の生口島の県境を繋いでいるのが、この多々羅大橋です。支柱間の距離が890mもあり、その距離はフランスのノルマンディ橋を抜いて、斜長橋としては世界一の橋です。
その距離を支えることが可能になった技術の進歩のすごさもさることながら、私は強さとしなやかさをあわせもった168本のケーブルに感動しました。
高さ200mの支柱から扇のように広がるケーブルは、総重量2万tの橋桁を支えながら、瀬戸内ののどかな風景に溶け込でいます。また見る角度が変わるたびに、ケーブルが重なったり離れたりして様々な造形を見せます。その形がとてもきれいで、斜長橋が遠くなり、小さくなっていくまで目が離せませんでした。そのくらい、私は、この橋に釘付けになってしまいましいました。橋から見える景色だけではなく、こんな橋の楽しみ方もあるんですね。
久しぶりの父とのドライブがこの橋をこんなに魅力的に見せたのか、それともこの橋が父とのドライブを引き立ててくれたのかどっちかわからないけど、また渡りたい多々羅大橋でした。
そんな人の気持ちにスパイスをきかせるような、ものを創りたいな、改めてそう思った小さな旅でした。
写真・文  門田陵子                                 
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