街角の彩り

 今(五月下旬)、浦和の家のヤマボウシが白い花を咲かせています。今年は、何となく花が大きいようです。このホームページで紹介している、紅葉の頃の写真(http://www5a.biglobe.ne.jp/~atl-ring/works/urawa6.htm)と比べると、ずいぶん印象が違うことが解ります。建物は基本的にひとつのかたちしか持たないので、街並みを固定したものにしてしまいますが、このヤマボウシのような落葉樹で花も紅葉も美しい樹木は、街角の彩りを、季節ごとに変化させてくれます。
 このヤマボウシは、敷地内の道端ぎりぎり、門の外に植えました。「私」の領域内に立っているのですが、空間としては「公」の領域に属し、街角の風景を構成するという位置づけです。この家の前の道は、道幅も狭いので歩道もなく、街路樹は植えられていません。そこで、この木を積極的に街角の風景に参加させ、家の前を行き来する人々に、少しでも彩りを感じていただければ、と考えました。道が、ちょうど小文字のyのような突き当りに位置するので、いわゆるアイストップとしての機能を持たせたのです。「街路樹」の定義を、行政=「公」が道路内に植えるものに限らず、街路空間に参加している樹木で、「私」のものへも広げてとらえたほうが、街路の景観を考える上では、自然のような気がします。生垣も含めて、私的街路樹は、街角に変化と彩りを与えます。(写真・文;青山恭之)

ヤマボウシ Cornus kousa
<山法師> 別名;ヤマグワ
ミズキ科ミズキ属 [落葉小高木〜高木] 各地の山野に生え、高さ5〜10mになる。樹皮は暗朱紅色。葉は対生し、長さ4〜12cmの卵状楕円形で、側脈は4〜5対。6〜7月、小さな花が20〜30個集まった球状の頭状花序をつくる。白い花弁のように見えるのは4個の総苞片で、長さ3〜6cm。果実は集合果で直径1〜1.5cmの球形。 10月頃に赤く熟し、食べられる。総苞片が 淡紅色の品種をベニヤマボウシf.roseaという。
用途;庭木、器具材
分布;本、四、九、朝鮮、中国、台湾
(解説;山渓カラー名鑑
『日本の樹木』山と渓谷社より)
       
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