8月8日午前、樽ケ浜の船着場で船を待ちながらの一枚。対馬、上島と下島の間の浅芽(あそう)湾は、リアス式地形である。昨日、福岡からの飛行機は、北から廻りこむようにしてこの湾の上空から対馬空港に降りた。その深い入り江の奥に位置するこの港は、まるで湖のように波が静かだった。
 

下は、昨日着いてすぐに訪れた椎根という集落。石屋根の倉が残っていて、観光資源にもなっている。どんどん数が減っていると聞いていたので今のうちに見ておこうと思っていた、今回の旅の目玉のひとつ。着いてみると、石屋根のものはいくつかしかなかったが、屋根材が瓦等になっているものの、建築的には同様の構成をもつ倉が、ずらりと並んでいて驚いた。
石の屋根の荷重を支える椎の木の柱もりっぱなものだったが、面白いと思った事はふたつある。まずその造形が、日本離れしていること。後で行ったお隣の壱岐でさえ、この形式の倉は見かけなかった。やはりここは朝鮮の風をまともに受けている。


もうひとつは、母屋のある敷地と離れて、集落の中心の広場(といっても、それほど中心的な場所性をもつものではない)の共有の土地に集まって建ち並んでいる事。ルドフスキーの『建築家なしの建築』にあったイベリア半島の倉庫群を思い出す。ただ、村の共用の共用財産が入っているというのではなく、それぞれが各家専用の持ち物ということだった。多くは3つの倉室に分かれていて、左が味噌・醤油、中に穀類、右が着物類だそうだ。
 

Next