先週の埼玉県民の日(11月14日)、小金井公園の「江戸東京たてもの園」を訪れ、銭湯「子宝湯」を中心とした建物群を描きました。描くのに要した時間は午後の一時間半程だったのですが、日はどんどん西に傾いて黄色い光に変わってゆき、紅葉もそれにつれて彩りを変化させていくのに絵の具の選択が追いつかず、苦労した一枚です。 この「子宝湯」は、アニメ映画「千と千尋の神隠し」で、「油屋」という天守閣のような巨大な風呂屋のモデルになった建物です。ちょうど今、ここの展示室で特別展「江戸東京たてもの園と千と千尋の神隠し」が開催中で、それを見に来た機会に、挨拶がわりに「子宝湯」を書いてみたいと思ったのです。 展覧会では、1本のアニメ映画を製作するための膨大な課程がストレートに展示されていて、その気の遠くなるような作業に圧倒されました。精密な背景画、動きを生み出すBookという絵の部品や、キャラクターの設計から一枚一枚のセル画の群。さらにスタッフたちの作業日程やメモ書きまで。それらがCG等の技術によって構築されていく・・・ それらすべてを一貫して流れる宮崎駿監督のあふれんばかりの想像力。そのイメージの源に、このたてもの園の看板建築などの豊かな表現があるというのです。つまり、イメージを喚起させ、飛躍させる力をかつての建築は持っていたと言っていいでしょう。そこで、現代の建築における表現とは?と、考えてしまうのです。
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