シジュウカラの巣立ち
 さる7月初旬、我が家の庭のモクレンにつるした巣箱から、シジュウカラの雛が巣立ちました。その巣箱は、つるし始めてからもう10年近くになり、あきらめかけていた去年の春、親鳥がつがいで下見に来ているのを発見してワクワクしていました。そして、りっぱに子育てをしたのです。
 今年、雛の声に気付いたのは6月27日でした。親はひんぱんに虫をくわえてきては巣に飛び込み、すぐに飛び立ちます。どこへ飛んでいくのかを追ってみると、道を隔てた楽風(本家)の庭のほうでした。緑の多い楽風の庭には、おそらく食料となる虫たちもたくさんいるのでしょう。そして、雛が巣穴から顔を出し始めたのが7月1日。それが上の写真です。これから自分が踏み込んでいく「世界」に目を見張っているようです。

 
 次の2日には、巣立ちを迎えました。正確に数えてはいませんが、数羽ほどのようでした。雛が出てくるのを見ようと、双眼鏡で巣穴を注視していて、ふと双眼鏡をはずした時、巣の手前4・50センチほどのところの枝に止まっている他の鳥が目に飛び込んできました。真っ赤な目で、巣穴をにらみ、出てくる雛を待ち伏せしているのです。「ツミだ!」すぐに庭に出て追い払いましたが、大自然の生死をかけた緊張感に触れたような気がしました。

 ツミはハトくらいの大きさの小型の猛禽で、このあたりで見かけるのは初めてでした。それにしても、街中の小さな庭も自然の一部なのだと、あらためて感じてしまいました。


「フィールドガイド日本の野鳥」より


庭の南西の角、丸印のなかが巣箱です。
(写真・文;青山恭之)


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