舘岩初冬

さる11月12・13日、さいたま市PTA協議会の視察研修で、市の小中学生が利用している「少年自然の家」を訪ねてきました。 旧浦和市が作った「赤城少年自然の家」(群馬県勢多郡富士見村)と、旧大宮市が作った「舘岩少年自然の家」 (福島県南会津郡舘岩村)です。さいたま市内各区の主にPTA会長と、西区の関係者総勢32名で、市のバスを使っての視察です。

一日目は早朝に大宮発。東北道から、紅葉が盛りの塩原温泉をぬけて、昼に舘岩着。 「舘岩少年自然の家」の施設は、広大な敷地と周囲の自然を含めてすばらしいものでした。 建物は、設計が松田平田坂本で施工が竹中。昭和57年度の福島県建築文化賞を受賞している作品です。 緩やかに起伏のある敷地を巧みに建築に生かし、一部にピロティーを形成して雨の日の野外活動の場を確保したり、 単調になりがちな宿泊棟を、高さの変化を取り入れて配置するなど、大きな構成に関心するものがありました。

さらに宿泊室においても、ベッドを奇数配置してシンメトリーをくずし、そのアンシンメトリーを開口部のしつらえが引継ぎ、 どのベッドからも外が見やすいように、床が外に向けて階段状になっています。 ベッドの下には持ち物を整理する引き出しが用意され、そのなかにスリッパを入れるコーナーまで作られていて、 きめの細かい設計がいきわたっていました。上は、その宿泊室の開口部からのスケッチです。

その午後、我々「浦和・岩槻組」は、バスでさらに北へ向かい、旧浦和が作った「ホテル南郷」(会津郡舘岩村)を視察しました。 このたび旧岩槻市がさいたま市に合併され、旧岩槻に「自然の家」の施設がなかったため、市民の保養施設として建てた「ホテル南郷」を 「自然の家」としてリフォームできないか、という話がでているのです。 隣接して、「さゆり壮」という施設もあわせ持っているのですが、少々環境が人工的で、 子供たちの集団での野外活動の場所としては、少し無理がありそうでした。 ただ、スキー場があるので、冬の活動には使えると思いました。

夕方には舘岩にもどり、夜は、「大宮・与野組」の人たちが午後の活動でさばいてくれたイワナに舌鼓をうち、 ドームにある20センチの屈折望遠鏡で接近中の火星を観察し、温泉であったまって、子供達と同じベッドで眠りにつきました。

2日目、朝は山々の上部に雪がありました。早々に出発して赤城を目指します。 赤城山は、登っていくにしたがってダケカンバが目立つようになり、大沼から上はその冬枯れた姿が金色に光ってみごとでした。 湖畔に建つ「赤城少年自然の家」は、施設としては「舘岩」に見おとりがするものの、環境は、山あり湿原あり湖ありでそれらがコンパクトなスケールで展開し、小学生のたちの野外学習には適していると思いました。ほとんどバスに乗っていた2日間でしたが、ひししぶりに山の空気に癒されてきました。


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