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バードサンクチュアリーを訪ねて
東京港野鳥公園のバードサンクチュアリー

 この春、北海道の春国岱を久々に訪れたのに引き続き、東京港野鳥公園のバードサンクチュアリーを、こちらも十数年ぶりに、5月のバードウィークの最中に訪れた。
 春国岱原生野鳥公園が、根室の自然のまっただ中に位置するのとは対照的に、こちらは羽田空港のすぐそばにあり、野鳥と飛行機を同じように見上げることになるような都市環境の人工の森である。それでも木々はあいにくの雨模様も手伝ってか、場所によってはずっと昔からあった大自然の中の薄暗い深い森に迷い込んだかのような錯覚に陥るほどのものに、成長していた。
 20年ほど前初めてこの敷地に足を踏み入れたときは、一見生き物を一切寄せ付けぬように見えた荒涼とした埋立地の一部に、それでもひそかに、息づいている野鳥の聖域があった。それから約5年がかりで、さらにその自然を生かすために人の手を加えた後、今ではすっかり木々も育ち、当初から建物は極力その姿を消すように設計されていたのが、一段と植物に覆われ、隠れ身の術は大成功!
 綿密に立てられた計画とはいえ、限られた予算・時間の中でのことで、20年後のこの姿に出会えて、かつて設計の一端を担った身としては、とてもうれしく心弾む一日であった。
 今朝(5月31日)のニュースで、人工の森の大先輩である「明治神宮の森」の話をしていたが、自然の回復力は、人間の命に比べると時間がかかるものに見えるが、もっと大きな時間の流れの中では、かなりのものだと、野鳥公園と重ねてあらためて感じた。
 瞬間にして壊してしまうばかりの人間の力ではあるが、だからといってあきらめてしまうのではなく、今からでも少しでも、大切な自然環境を守り回復させていくためにできることは何か、この尽きない課題を探るのも、われわれの仕事である。

 上の写真は東京湾につながる、汽水池(海水と淡水の混じる池)際の観察小屋から、もうひとつの観察小屋とネイチャーセンターを眺めたところ。池側からは比較的建物の姿が見えるが、森側からはほとんど見えない。

ネイチャーセンターから見える汽水池
 野鳥公園のメインの観察施設・ネイチャーセンターから見える汽水池。27ha足らずの敷地は、ちょっと遠くを見やると、すぐに人工物が目に飛び込む。

右から司会の日本野鳥の会の安西氏、会長の俳優の柳生博氏、会員の江戸屋子猫氏
 バードウィークの催しのひとこまで、右から司会の日本野鳥の会の安西氏、会長の俳優の柳生博氏、会員の江戸屋子猫氏。子猫氏の奏でる(?)野鳥の鳴き声(メスを射止めるためのラブソング)は、競争相手のオスも退散するほどとか。人間にとっては、心洗われる野鳥の声そのものでした。
(文;永田博子 写真;青山恭之)