冬の山岳展望

  冬は、遠くの山並みに心が惹かれます。関東地方は晴天が続き、季節風で雲や空気中の汚れが吹き払われ、視界が遠方に届きます。電車で移動している時も、高いビルなどに登った時も、今日はどこまで山が見えているか気になる季節です。この冬の山岳展望から2箇所、紹介しましょう。



  まずは、大宮ソニックビルの30階の展望室から、日光連山です(2月18日15時)。ここには大型の双眼鏡が東西南北に向けて設置されていて、無料で使用できます。日光の山並みがきれいだなと見ていたら、なんと、加須市役所が見えているのに気づきました。ちょうど、加須のプロジェクトの確認申請で加須市役所に通っていた時期で、市役所の建物が目に焼きついていたから気づいたのでしょう。この写真は、その双眼鏡をデジカメで覗いて、超望遠で撮影しました。写真下方、中央に白っぽく写っている、横長で四角い5階建ての建物です。加須市役所まで25キロ、日光まで100キロ。



帰ってきてから、山岳展望ソフト「カシミール」に加須市役所の位置を登録し、大宮ソニックの位置で地上100メートルからの展望をシュミレートしたのが上の画像です。この中での最高峰は、女峰山2463.5mです。



次も加須がらみです。加須市の最北部、利根川の堤防の上からの展望です(1月30日12時半)。左の榛名、右の赤城の間に、遠く、上信越国境の山々が白く輝いて見えていました。距離は110キロほどあります。デジカメのズームの限界ですが、画像処理でコントラストを高め、拡大したのが下の画像です。





  このあたりの山は、浦和からはなかなか見ることができません。白砂山が、新潟・長野・群馬三県の境をなす位置にあります。あの右奥は越後なのだと思うと、胸の高鳴りを覚えます。白砂山から日本海まで75キロ。本州という島の巾が実感できます。




  この河川敷は、世界一のこいのぼりを上げることで有名ですが、さえぎる物がないので、山岳展望の適地でもあります。なんといっても関東平野の真ん中にあるので、ある距離をおいてぐるりと山並みが見えるというのは、日本のなかでも、関東平野特有の景観と言えるのではないでしょうか。南の丹沢から始まって、時計周りに、富士山、奥多摩、秩父、西上州の山々、浅間、榛名、上信越国境の山々、赤城、白根、日光、高原山塊、那須は無理でしたが、加波山、筑波まで。山々から水を集めて、利根川が悠々と流れています。(銚子の河口まで、直線距離でも120キロあるのに、標高は13メートルしかありません。130000割る13で、一万分の一の勾配!)
(文・写真;青山恭之)