さいたま市立高砂小学校、先日(9月27日)に行われた運動会の様子です。上の写真に写っている校舎、白く輝いて見えませんか? 実はこの夏、約20年ぶりで、外装の全面補修工事が行われました。工事に先立って、校長先生から、「外観の色を決めるので相談にのってほしい」とお話がありました。この校舎は、僕が5年生の時に完成し、高学年の2年間を過ごした、思い出の建物です。「お手伝いができるだけで光栄です」と、お引き受けすることにしました。
木村校長先生・井原教頭先生・工事の担当者と校舎の周りをめぐり、色について話し合いました。その時、校舎の角に、濃い茶色の帯が縦に入っていることが話題になり、僕が気づいたのは、それは校門の木の門柱のイメージなのではないかということでした。校舎の正門のある北側には、瓦屋根をのせた白壁の塀が長々と続き、門のところには木の門柱が立っているのです。それが学校の顔にもなっているので、かつてこのデザインを決めた人は、白壁と門柱を意識したのだろうから、それを尊重したらと提案しました。どうしても、公共建築は、無難なベージュのような色になり、塀はまた塀で、別物として扱われるのが常だと思います。ここでは、塀や門と校舎が一体になるように色を決めようというコンセプトで、関係者の意見が一致しました。
やや暖色系の白だった外壁の基調色を、クリアな白とし、角と窓台のアクセントカラーのこげ茶は、より門柱に近い色の茶に、バルコニーの手摺部分の水色は、木々の色に合わせて落ち着いたグリーンに変えました。空を意識した水色だったのでしょうが、現在は超高層マンションにはさまれてしまっているので、逆に、大地のほうに引き寄せようと考えたのです。さらに、給食室棟や、樋、金物などの色も、同じコンセプトで統一させました。
北側のパノラマ ▲工事前 ▼工事後 植栽にも手が加わって、なおすっきりした印象になりました。
夏休み中の工事予定だったのですが、お盆過ぎから雨が続き、二学期開始時に、南側だけ間に合わせて足場をはずしたものの、すべての工事が終わったのは、お彼岸のころになってしまいました。足場が取れてあらためて北側から眺めると、東西123メートルの校舎が、足元の塀や門と一体となって、景観としても整った印象を与えてくれます。さらに うれしかったのは、校長先生が、「学校だより」に、僕に相談して色を決めるいきさつを文章にして残しておいてくれたことです。校舎の色がどうやって決まったか、子どもたちも知ることで、学校のことをより好きになってくれるのでは・・・
(文・写真・;青山恭之)