僕が武蔵野美大の4年生のゼミ、大学院時代を通じてお世話になった坂本一成先生。その後、母校の東京工業大学に移られました。僕はムサ美の助手になりましたが、坂本先生との研究が続いていたので、東工大の坂本研究室に出向いて、論文を書きました。そんな坂本先生も、今年度かぎりで東工大を退官されます。それを記念した展覧会が、東工大の百年記念館で、10月2日から21日まで開催されました。
坂本先生の師匠だった篠原一男設計の記念館。その1階の広々とした空間に、坂本建築の大きな写真の数々と、模型、図面那などが並べられていました。内容は、2002年に「ギャラリー間」で行われた展覧会が、ヨーロッパを巡回し、もどってきたものに最新のプロジェクトなどが追加されたものです。特に住宅の写真は、本物に近い大きさに拡大されているので、まるでそのインテリアにいるように感じられるものでした。展示の中には、大学院時代にインキングした住宅の図面もあって、なつかしくなりました。それにしても、広い会場をて歩いていて、坂本建築の大きな写真に突き当たる様子は、孫悟空がいくらがんばって飛んでも、お釈迦様の手が立ちふさがるという感じに似ているようで、さらにその先は、篠原一男の建築という入れ子になっている・・・
関連したイベントもいくつか行われました。下の写真は10月4日、先生の教え子たちが毎年一回一堂に会する「例の会」という会を、今年はその展覧会場で行った時のものです。
10月8日には、八束はじめ氏・坂牛卓氏と先生によるシンポジウムが、奥山信一氏の司会で、同館3階のフェライト記念会議室において行われました。それが大変な人出で、立ち見どころか、会場に入りきれない人も出た程でした。難解と思われがちな坂本先生の建築ですが、理解者あるいは理解しようとしている人が多いということが実感できました。
(文・写真;青山恭之)
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