アトリエ・リング 一級建築士事務所

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住まいと街をめぐる〜part2 世田谷美術館展

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世田谷美術館の区民ギャラリーで、3月2日から7日、「住まいと街をめぐる〜part2 −街に繋がり拡がっていく生活空間−」という展覧会を、住環境コラボレーションの仲間で開きました。part2というのは、2008年の6月に埼玉県立近代美術館の一般展示室で行った展覧会の、第2段という意味です。今回は、松澤静男、幸田章、根岸一男、芳賀敏夫、小山一彦、藤原成暁、アトリエ・リングの計7人(ユニット)の参加ということになりました。上の写真は、我々の展示です。

なぜ世田谷美術館だったかというと、幸田氏が、この美術館を設計した内井昭蔵氏の事務所でコンペの時からの担当者だったということ、幸田氏の奥様がここの学芸委員だということが主な理由です。

開催趣旨は、以下の通りです。
 「この作品展では"住環境コラボレーション"の仲間による活動成果の作品を展示いたします。"住環境コラボレーション"とは、それぞれの活動地域で住宅や保育園など様々な建築設計を通して、地域に根差したきめ細やかな街環境・住環境・教育や仕事環境を創ろうとする仲間による情報交換・研鑚・異業種交流活動等を行なう場です。今回の作品展も、前回作品展同様に、地域の住環境を主眼に置いて、街に繋がり拡がってゆく生活空間とは?をテーマにしています。」


全体配置計画は幸田氏、会場のポスターは松澤氏に担当いただきました。

配置計画のスケッチと会場のポスター

入口を入ったところのエリアでは、全員の作品のスライドが投影されました。下の写真は、入口に立って撮った、スライドショーのコーナーから幸田さんのコーナーまでのパノラマ写真です。

会場入り口より

そこから、時計回りに、会場を見ていきましょう。各自、コーナーを使った展示を平面に展開した画像です。



藤原氏の展示

ここは、藤原氏の展示。スケッチブックそのものの展示や、贈り物のお返しの絵手紙は圧巻でした。



根岸氏の展示

次のエリアは、根岸氏。保育園や温泉施設など、希望の大きな建築も手がけられています。



アトリエ・リングの展示

その向いのコーナーが、我々の展示です。

 「○○の なかの □□」

「ある大きな空間(ひろがり)のなかに、より小さな空間が包まれてあるという包含関係。その、相互をとりもつ関係は、歴史のなかの今という時間的水準や、地域の気候のなかでの室内環境というような計画原論的水準、なわばりのなかの巣というような生態学的水準などが重なってあると考えていいでしょう。その結びつきが様々な水準で存在することが、豊かさを生み出すといえるのではないでしょうか。今回の展示である、環境のなかの住宅(作品紹介)・街のなかの建築(スケッチ)を通して、真の豊かさを問い直してみませんか。」

左の壁面には、「加須の二世帯住宅」のスライド50枚と敷地全体模型(1:75)を配置。右の壁面には、「月刊 監査研究」の2008年9月号から2009年8月号まで、毎月連載したコラム「建築、街に在り」の原画と解説を展示しました。



芳賀氏の展示

続いて、芳賀氏のコーナー。代表作の住宅6軒が紹介されていました。



松澤氏の展示

その向いが松澤氏。個々の作品というより、木の家を作るときの仕様が前面に出ていました。



幸田氏の展示

続く幸田氏の展示は、住宅を中心にパネルと模型で紹介しており、実物の椅子は談話コーナーにもなっていました。



小山氏の展示

最後に、今回函館から参加の小山氏の展示は、ひとつの保育園に限って、実際に使われている様子の写真が好感を呼んでいました。



世代的にはそれほど離れていない8人の設計者ですが、それぞれの関心の向く先は様々で、皆の個性がよく現れて、充実した展示ができました。
 また、次の機会に向けて、研鑽を積んでいきたいと思っています。(文・写真;青山恭之)