アトリエ・リング 一級建築士事務所

私たちは、さいたま市浦和区の設計事務所です。環境に向き合う住まいづくりを、お手伝いします。

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早稲田、スコットホール

スコットホール、近景

早稲田奉仕園にある、スコットホールです。大正11年のヴォーリス建築で、「東京都歴史的建造物」に指定されています。ここで三枚のスケッチを描きました。きっかけは、建築家の鈴木喜一氏が、この建物の中の一部をギャラリーとして再生する設計を手がけ、そのオープニングの催しと神楽坂建築塾で2週にわたって訪れたというチャンスがあったからです。上のスケッチは、5月22日に、この建物を描くスケッチ会があり、その時のものです。

この日は、雨が心配されていて、軒が出ている下に場所を選んで、描き始めました。それが、建物に近すぎて、パースを整えるのにとっても苦労してしまいました。さらに近いだけにディテールがよく見え、イギリス積みで積まれているレンガが、部分部分で積み方を変えて意匠的なアクセントにしているとことなど、はしょらずに描こうと鉛筆を入れはじめて後に引けず、完成前に雨が降りはじめて色鉛筆を入れた段階で中断してしまいました。後日水彩を追加して、仕上げたものです。


スコットホール、遠景

もう一枚は、5月15日の神楽坂建築塾がここ集合だったので、少し前に着いてさっと描いたものです。このアングルは、建物からもある程度距離がとれているので、細かいところを気にせず一気に描きました。


スコットホール、ギャラリー

最後は、22日のスケッチを終えて、参加者たちがギャラリーの中に集まってきたところです。これは、クロッキー帳にペンでクロッキー。レンガの壁、アーチの構造がむき出しになった半地下の空間が、今回ギャラリーとして生まれ変わりました。ひとつの建物で、立て続けに3枚のスケッチを描くというのは、自分でもめずらしいことでした。

スコットホール、チャペル

この日は、早稲田奉仕園の方の御好意で、チャペルの内部も見せていただきました。ヴォーリスは基本設計だけを行ったようですが、その意図を、内藤多仲・今井兼次がよく汲み取って、静かな内部空間が成立していました。 (スケッチ・写真・文;青山恭之)