私たちは、さいたま市浦和区の設計事務所です。環境に向き合う住まいづくりを、お手伝いします。
monthly column |
本庄の街で |
11月9日、「本庄まちNET」5年目の文化祭という催しが埼玉県本庄市で行われ、埼玉県街づくり懇話会のメンバーと参加してきました。
午後からの催しでしたが、午前中に着いて本庄の街を歩きました。あいにく小雨がちらつき、じっくりスケッチとはいかなかったのですが、JR本庄駅近くで、ホームからもよく見える、煉瓦の「うだつ」を持つ町家(大政商店本庄支店)をざっとスケッチし、帰ってきてから仕上げたのが上の画像です。奥行きの長い敷地に、母屋以外にも煉瓦造の建物、煙突などがよく残っていました。
本庄宿は、中山道の宿場の中で、人口と建物の数が最も多かったそうです。利根川の舟運も含めて、人と物が集結した要にあたっていたということでしょう。しかし現在歩いてみると、街並みは歯抜けになって歩いている人も少なく、寂しさをいなめません。ただ、街道に面した母屋は変わっても奥に蔵が残っていて、往時をしのぶことはできます。深谷が近いので、煉瓦造のものが散見できるのも特徴です。上の写真は、明治16年の擬洋風建築、旧本庄警察署で、現在は本庄市立本庄歴史民俗資料館として活用されています。県内の洋風建築として最も古い時期のもので、貴重な文化財です。
さて、会場に到着。本庄宿の中では上方に近い千代田四丁目、旧中山道に面した小森酒店の敷地を、三棟の蔵を再生して残し、敷地中央を抜ける開発道路を造り、他を6敷地の住宅地として分譲した民間事業です。プロジェクトのリーダーが、我々埼玉街づくり懇話会のメンバーでもあり、本庄まちNET代表の戸谷正夫氏。写真左端の一の蔵は、戸谷氏の設計事務所として再生されました。
この写真、白壁の二の蔵、奥に煉瓦の三の蔵です。二の蔵は、カフェ等に利用されていて、三の蔵(本庄赤煉瓦ホール)が今回のメイン会場です。二の蔵手前には、お稲荷さんと井戸の跡を利用したポケットパークが用意されています。
プログラムは4部構成になっていました。第一部はオープニングと、各プロジェクトチームの活動紹介。その中で、世界初の自転車機能として注目されつつある「門弥の陸船車」の原寸復元モデルが初公開され、雨のため屋内で走行実験も行われました。上の写真で左端が戸谷氏、右の写真で陸船車を漕いでいるのが、本庄歴史民俗資料館館長の増田一裕氏です。
第二部は、増田一裕氏の講演で、本庄に関わる鉄道建設の歴史についてでした。古くからの交通の要衝だけあって、多くの鉄道が企画され、一部が実施され、さらに時代の流れの中で廃止されたものも多かったことを知ることができました。
第三部は交流パーティ。本庄のまちづくりに関わる方々と、話ができました。 さらに第四部として映画の鑑賞会とトークがあったのですが、我々埼玉県街づくり懇話会のメンバーは、戸谷事務所の二階で会議(?)があり、帰ってきたのは深夜ということになってしまいました。 たっぷりと本庄を感じ、考える晩秋の一日でした。(スケッチ・写真・文;青山恭之)