ルパン三世
第1話 ルパンは燃えているか?

キャラクター
ルパン三世 山田康雄
次元大介 小林清志
峰 不二子 二階堂由希子
銭形警部 納谷悟朗
コミッショナー 滝口順平
工作員
受付の男
競技委員長
企画のアフレコ用台本です

工作員 「うううっ」
ルパン 「ねぇ、そんな缶もってどうするの?」
工作員 (驚いて)
「うあぁ」
「あのオイル点検しようと思いまして・・・・」
ルパン 「オイルをね・・・・、
キミはこのクルマの係りかい?」
工作員 「いえぇ、そのう・・・・」
ルパン 「じゃぁ、キミに用はないな。このクルマすっかり整備済みなんでね」
工作員 「は、はい」(逃げていく)

ルパン 「次元、こちらルパン。やっぱり変なのがウロウロしはじめたぜ」
ルパンの声 「所でそっちの様子はどうだ」
次元 「いやぁ、こっちはのんびりしたもんだ。小鳥がピーチク鳴いてるぜ」
ルパンの声 「お前の事じゃない。オレの恋人、峰不二子はどうした? その後連絡は無いか?」
次元 「お前の恋人? あの女、どうやらホテル・ミラクルへ忍び込んだぜ。
その後の連絡は無いがね、まっ、上手くいってるぜ」」

コミッショナー 「諸君! 今日の総会の目的は、我がスコーピオンの宿敵、ルパン三世の葬儀を行いたいが為だ。
左様、ルパンはまだ死んではおらん、しかしまもなく死ぬ。その死に様を諸君と共にとっくりと拝見しょうと言う訳だ。


さてと・・・、その前にぃ!」
不二子 「ハッ!   しまった!」
コミッショナー 「ハハハハハハハハ・・・・・・」
次元 「こちら次元大介、なにかあったか?」
不二子 「あぁ、次元? 急いでルパンに連絡を・・・、スコーピオンの奴ら・・・あっうううう・・・・・」

コミッショナー 「ヒッヒヒヒヒヒ・・・・・、私はねぇキミの行動を承知で今まで自由に泳がせておいてやった。
下手に騒いで、ルパンを刺激したりすれば、練りに練ったルパンの葬儀計画が水の泡に成りかねない。
そう考えたもんでね」
不二子 「スコーピオンともあろう者が、子どもだましにしては大袈裟過ぎない事?」
コミッショナー 「そう、これから始まるその子どもだましに花を添えるのがキミの役目と言う訳さ」
不二子 「葬式行列のバトンガールでもやれっておっしゃるの?
せっかくだけど無理だと思うわ。ルパンは不死身の男よ」
コミッショナー 「今まではね。しかし今度は賭てもいいんだよ峰くん、ルパンの死をねぇ」
コミッショナー 「飛弾スピードウェイ。5年の歳月、50億の巨費を掛けて築き上げた東洋イチの大レース場だ。
こけら落としの今日、これから行われるグランプリレースに、日本レーシング連盟の名を借りて、我々が特に招いたひとりの選手がいる。
フェラーリ312Bに乗った、この男だ。
そう、ルパン三世だ。あれほど用心深く、抜け目のないルパンが、ことレースとなると一枚の招待状でコロっと引っかかる。
これだから人間はおもしろいねぇ、峰くん」
不二子 「そんなことより、引き合うの? ルパンたったひとりを消すために、50億も掛けてレース場を作ったりして」
コミッショナー 「ヒヒヒヒヒヒ、私はね、ルパンひとりを消すんじゃない、ルパン帝国のシンボルそのものを叩き潰してやるんだ。
最大の支えを失った商売がたきはたちまちガタガタになる、アハハハハハハハ」
不二子 (不二子の胸にステッキを当て、不二子のカラダをもて遊ぶ)
「はっ!」
コミッショナー 「間もなくレースはスタートする。コースは山あり、谷あり・・・意外な落とし穴があるかもしれん。そうだろ? ん?
コースに設置した100台のテレビカメラがそれを我々に見せてくれるという訳だ。
そして峰くん、その一部始終を見守りながら、キミも死んで行く事になる、ウハハハハハハハ」
ルパンの声 「次元、お待ちどう。気分も上々、マシンの調子も最高だぜ」
次元 「ルパン、ちょいと雲行きがおかしいんだ。彼女からの連絡が途切れて、もう30分経つ」
ルパンの声 「フーン、つまり敵の手中に落ちたか。まぁいいでしょ」
次元 「おぉい、なんていう言いぐさだよおい」
ルパンの声 「スパイの正体がばれる確率はだな、CIA統計の発表によれば・・・・・、
フン、それはまぁいいとしてだ、ともかく不二子は捕まり、このオレはすっぽり罠の中だ。
そこに生まれる敵の気のゆるみにつけ込む。コイツが利点さ」
次元 「罠? 罠と言ったな。するとやっぱりこのレースは・・・」
ルパン 「そういうこと、確かにどのクルマも、どのレーサーも、世界一流の怪物ばかりだ・・・・
ジュン・サーティースのサーティスTSセブン
ジャッキー・シュチュワートのフォード・ティテル
デニス・ハルムのマクラーレン
ベルト・ワーズのマトラシムカ

ほほっ、だがあのテクニックじゃ乗ってる奴らみんな偽物。
クルマもカムフラージュしてるが、音聞きゃわかるよ。スコーピオンの系列会社の製品ばかりだ。
ルパンの声 「この分じゃ、他にどんなおっかない仕掛けがあるかわかったもんじゃないね。

もっともまぁそれを承知で自ら飛び込んだ罠だ・・・・」
次元 「ルパン、おしゃべりはよせ。
後ろから1台近づいてるぞ。ロータス72だ」

次元 「ルパン、スコーピオンか?」
ルパンの声 「いやぁ、違う。我が宿命のライバル。ご存じ警視庁は銭形警部さ」
次元 「銭形・・・」
銭形 「ルパン・・・・。こんな風に貴様を追い続けてもう何年になるだろう。
血が、宿命が、貴様がアルセーヌ・ルパンの孫でなかったら、オレが銭形平次の子孫でなかったら・・・・・、
オレは必ず貴様を捕まえる。キザな悪党奴、オレは必ず貴様を今日こそ・・・・、今日こそ捕まえて見せる。
お前は今日ここできっと何かやらかすに違いない。オレはどんな事があってもお前のクルマから目を離さんぞ」

コミッショナーの声 「こちらコミッショナー、工作員に次ぐ。
かねてよりの指示に従い、ルパン三世抹殺計画に着手せよ」
工作員 「了解!」
コミッショナー 「フフフ、そろそろ始まる様だな。
では、こちらも始めるとするかな峰くん・・・・・・。フフフ」
不二子 (胸元から服を破かれる)
「!」
コミッショナー 「事故に見せねばならん。あくまで事故にな。
しかしさすがはルパン、時速200キロでコースの異変を素早く見抜くとは・・・、
A級ライセンスも伊達では無いと言う訳か」
銭形 「く、くそう」

ルパン 「次元、いよいよおもしろくなってきたぜ。
こっちもそろそろ始めようか?」
次元 「よおし」

受付の男 「水道局? 故障調べ?」
水道業者(ルパン) 「へぇぇ、えぇ何か、従業員専用トイレの水洗の具合がおかしいとか? さっきお電話頂きましたんでねぇ。へへ」
受付 「変だな、そんな報告は無いぞ・・」
水道業者(ルパン) 「あぁぁ、そう、いや間違いならいいんです」
受付の男 「あぁ、キミキミ。キミ待ちたまえ。
とにかく見てくれ」
水道業者(ルパン) 「へぇへぇ」
受付の男 「ここだがね、手早く頼むぞ」
水道業者(ルパン) 「へぇへぇ。
えーっと、確か婦人用の方だったなぁ。ほんじゃ」

水道業者(ルパン) (受付の男に聞こえる様にわざと)
「あぁぁ、こりゃいけねぇや、なんか詰まってるな。こりゃいけねぇや、駄目だこんなに詰めちゃ・・・」
ルパン 「ムフフフフフフ・・・」
受付の男 「おい! 何をやってるんだ!」
ルパン 「ムフフフフ」
受付の男 「ぬ、貴様ルパン!」
ルパン 「おやすみ」
コミッショナー 「そうら、峰くん。フェヘヘヘヘ・・・」
不二子 (くすぐられます、笑い続けてください)
「あはははははは・・・・、やめてぇ・・・・、あぁ〜、くすぐったいぃぃ・・・・あぁぁぁ、苦しいぃぃ、
よしてよぉぉぉ」
コミッショナー 「うぇへへへへへへ・・・・・」
不二子 「いやぁぁぁぁ、やめてぇぇぇぇ・・・・」
(コミッショナーセリフ中も続けてください)
コミッショナー 「あははははは、どうだね、ルパンは死の一歩手前だ。そしてキミはどうかなぁぁぁははははは」
受付の男 「あ、あ、開けてくれぇぇ」
コミッショナー (異変に動揺する)
「何だ? ガード、早く調べろ!


み、水?
何だこの水は、早くドアを閉めろ、早く!」
受付の男 「コ、コミッショナー! ル、ルパン、ルパンの仕業です」
コミッショナー 「な、何だと。バカモノ。
アレを見ろ。奇跡でも起こらん限りルパンは・・・・」
ルパン 「起こったんだな・・・・、それが」
コミッショナー 「んんん?
ルパン!」
不二子 「ルパン!」
部下達(演者全員) 「ルパン!」
ルパン 「そう。ホテルの名がミラクル。奇跡が起こっても不思議は無い。
さぁて、スコーピオンの葬儀を始めようかな?」

コミッショナー 「電流?! わぁぁぁ 撃て! 撃て!」
受付の男 「うわぁぁぁぁぁ」
部下達(演者全員) 「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
コミッショナー 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ」
不二子 (死にゆく男達を見て)
「あぁぁぁ」

ルパン 「やぁ 不二子・・・、気分は?」
不二子 (虚勢を張り、余裕の声で)
「えぇぇ? まぁまぁ って所かしらルパンさん。

でも、同じ事ならもー少し早く来て欲しかったんだけど・・」
ルパン 「いえいえ、もう少し遅らした方が良かったかも知れないんだけど・・・・」
次元 「銭形のとっつぁん、決してアンタの腕は悪く無いんだが、クルマの性能が違うんでね。
まっ、気を落としなさんな」
次元 「よぉ、赤ずきんちゃん。スコーピオンのお城のいごごちはどうだった?」
不二子 「ん、まぁまぁ ってとこね。
アナタこそどうだったの? レーサーの気分は?」

銭形 「くそお、何かやるかと思ったが、盗んだのがスピードだけだったのか。おや?」

競技委員長 「爆発まで、13、12、11、10、9」
ルパン 「8、7、6、5、4・・・・、おおい競技委員長さん」
競技委員長 「はい」
ルパン 「プレゼント」
競技委員長 「あわわ あああぁぁぁ」
銭形 「むむむむ、ルパン奴!

うわぁ 馬鹿! 邪魔する気かぁ!」
不二子 「駄目よ、死ぬのがイヤならここにいなさい」
銭形 「何だと!」

ルパン 「おや、これは銭形の旦那。お珍しい」
銭形 「ルパン、一体?!」


コミッショナー 「うひひひひ、燃えている、燃えている 。ルパンも燃えたぁ。うひひひひひひ・・・・」
(絶命?)

銭形 「貴様、一体何をやらかした?」
ルパン 「おーや、私にはちゃんとしたアリバイがありますよ。それも証人は他ならぬアンタだ。さすが警視庁。
うはははははは。
あたしのクルマに張り付いて離れなかったんだから・・・」
銭形 「見損なうな、ルパン!」
ルパン 「フーン?」

銭形 「お前はこのワシを、三枚目にしたつもりだろうがな、そうはイカン!
お前のやったことは、ちゃんとわかっとる。証人がいるんだぞ。
ネタはすっかり割れているんだ。このとおりな」
ルパン 「あぁぁ、次元・・・、いや、いやいや、その、だ、誰だい? その男・・・」
不二子 「うーん」
(私が証人よっていうアピールです)
ルパン 「ほえ? 不二子、そんじゃお前はぁ?」
銭形 「その通り、峰不二子は初めからオレの協力者だ。ルパン! 貴様を逮捕する!」
不二子 「さっ、銭形さん。 これで取引は成立。
じゃ、約束の物頂戴」
銭形 「うむ、オレも男だ。さぁ好きにしろ」
ルパン 「逮捕状、キミのか?」
不二子 「そう! これで私も自由になれるって訳。
ルパンごめんなさい」」

銭形 「まっつまり、自由であることが何より得難い財産と言う訳だ。ルパン、貴様にはこれから不自由な暮らしが待っているゾ。さぁ行こう。おぉぉう。
ハハハハハ、逆らっても無駄だ。さっ、きびきび来い。
おら、抵抗しても無駄だ。もう逃げられんぞ、アハハハハ」

不二子 (運転席の背後よりルパン現れ、驚く)
「はぁ? ルパン!
裏切り者を消しに来たって訳?」
ルパン 「とんでもない、裏切りは女のアクセサリーのような物さ。
いちいち気にしてちゃ、女を愛せる訳はないぜ、そうだろ?」
不二子 「あぁぁ、ンンン、やめてぇ、やだぁ、あぁぁん」
BGM終了 END