宇宙戦艦ヤマト
永遠のジュラ編

キャラクター説明 オリジナルキャスト
古代 進 18歳 ヤマト戦闘隊長。島大介とは同期、熱血漢。 富山 敬
沖田十三 52歳 ヤマト艦長。冷静沈着 納谷悟朗
島 大介 18歳 ヤマト航海長。古代よりクールな面がある。 仲村秀生
真田志郎 28歳 ヤマト工場長。古代守とは同期である 青野 武
佐渡酒造 47歳 ヤマト艦医。大酒飲みのオヤジ。 永井一郎
徳川彦佐衛門 65歳 ヤマトの機関長。ヤマトクルー最高齢
アナライザー 分析ロボットアナライザー 緒方賢一
森 ユキ 18歳 ヤマト生活班長。 麻上洋子
古代 守 28歳 古代進の兄。冥王星海戦で行方不明。 広川太一郎
アイ子 徳川の孫 麻上洋子
機関部員 緒方賢一
デスラー ガミラス星総統 伊武雅之
ヒス 副総統 山下啓介
メラ サイレンの惑星に住む ジュラの母
ジュラ デスラーとメラの間に生まれた娘
ナレーション 木村 幌
基本配役 5:3
台本の見方
この台本は、効果音・BGMを流して出来るように書かれています。下記に説明を良く読んで下さい。
緑ラインは、効果音・BGMに台詞がかぶります。おおよそ縦に引かれた緑ラインまで音が流れます。
基本BGMが流れてから、台詞を読んで下さい。
赤ラインは、ブリッジBGMなど台詞にかぶりません。音が消えてから台詞を出して下さい。
黒ラインは、BGM終了ラインです。これ以前に台詞が終わっても、次の台詞には行かないでください。
「間」の指示の時は多少の間を取ってもらいます。
ほかにも指示があります。ご注意下さい
SE-02
ナレーション 「西暦2200年8月。宇宙戦艦ヤマトは、放射能除去装置を受け取り、一路、地球に帰るべく宇宙空間をひた走っていた。

そんな頃、一隻の宇宙船が同じように銀河系を、ヤマトを目指し航行していた」
ジュラ 「私はジュラ・・・・・・・、
地球人が教えてくれたイスカンダルの波動エンジンが、その時後尾の隔壁の奥で鈍い・・・、そして快いうなりをあげていた。
大マゼラン雲から銀河系まで17万光年、私の船の能力一杯の距離だった・・・・・

しかし私はどうしても行かなくてはならなかった。母なる銀河の懐に、あの・・、あのヤマトが帰り着く前に!

私はしばしまどろむ、ヤマトに追いつくまでのあいだ・・・・・。
私の母が残してくれた記憶端子を、私の脳中枢に接続して・・・・・・。
こうして眠ればヤマトと私と・・・・、そして私の母の間に起こった今までの物語を・・・・
夢の中で見ることが出来るだろう。
夢を見て、夢から醒めたとき、私は再びヤマトにめぐりあうのだ。
私はジュラ・・・・・・・」
SE-03
ナレーション 「時に西暦2199年、地球は宇宙の星ガミラスによって遊星爆弾の攻撃を受け、その放射能汚染により人類滅亡まであと1年と迫っていた。
そんなとき、大マゼラン星雲にあるイスカンダル星のスターシャより、放射能除去装置を取りに来るようにとメッセージが来た。
こうして宇宙戦艦ヤマトは、14万8千光年の航海に旅立ったのである。
2200年3月、宇宙戦艦ヤマトはドメル艦隊をやぶり、大マゼラン星雲の入り口に差し掛かったのである。
ガミラスの抵抗も弱まり、ヤマトの航海は遅れながらも順調に進んでおり、ヤマト乗組員もしばらくは平穏な日々が続いていた」
SE-04
ナレーション   「進・・・・、進・・・・・・、進・・・・・・・・」
古代 「誰だ、ボクを呼ぶのは?」
ナレーション   「オレだよ進、守だ」
古代 「守兄さん!」
ナレーション 「古代は、兄守の夢を見ていた」
ナレーション   「寒いぞ、オレは今、とても寒い所にいるぞ。
死ぬとこんな寒い世界をさまようことになるとは、知らなかった。
ここは上も下もない、始めも終わりもない・・・、寂しい所だ・・・・・。
進、このままではヤマトもいずれオレのいる所へ来ることになる・・・・。
やめろ・・、来るな。イスカンダルへ行くのなどやめてすぐ地球へ戻れ、すぐにだ・・・・」
古代 「兄さん、にいさぁーん!」
古代
夢か・・・・・・、航海が長いので、オレもノイローゼかな?
佐渡先生に何か薬をもらおう」
ナレーション 「古代は自室を出て佐渡の医務室へ向かった。艦内通路を歩いていると遠くに人影を見た。近づくとそれは夢で見た古代守の姿だった」
古代 「兄さん!」
ナレーション 「古代守は走り去って行く、古代は後を追った」
古代 「待ってくれ、兄さん!」
徳川 「危ない!」
ナレーション 「その時、機関長の徳川が古代を制した」
徳川 「なんて事をするんだ、このままだと機関室まで墜落してしまうぞ。
人工重力が働いているんだ、即死だぞホントに・・・」
古代 「今、誰か来ませんでしたか? 徳川さん」
徳川 「ここは通路じゃない、誰も来るはずないじゃないか・・・・
しっかりしろ、古代! 艦長代理のお前がそんなことでヤマトはどうなる!
佐渡先生に酒でももらえ」
古代 「そうします・・」
ナレーション 「古代は頭を掻きながら、照れくさそうに機関室を後にした。
残った徳川がつぶやく」」
徳川 「誰がこんな所へ・・・・・ん?」
ナレーション 「その時徳川は愕然とした」
SE-05
ジュラ アイ子  「おなかすいたよぅ・・・。食べる物が欲しいよぅ・・・・」
徳川 「アイ子!
地球にいる孫が、どうして・・・?」
ジュラ アイ子 「おじいちゃん!」
徳川 「アイ子! パパやママはどうした?」
ジュラ アイ子 「誰もいないよぅ。 みんな死んじゃったよぅ」
徳川 「アイ子!」
ナレーション   「機関長! しっかりして下さい!」
徳川 「幻覚か・・・・・。
古代の事を笑えんな・・・・・。
ワシも佐渡先生に何かもらおう」
ナレーション 「艦内通路を歩き、佐渡の医務室へ向かう徳川、そこへアナライザーを連れた森ユキが通り掛かる」
ユキ 「徳川さん、どうなさいました? 顔色が良くないわ」
ナレーション 「徳川は無言で通り過ぎる」
アナライザー 「ニンゲンハ、イロイロコショウシテフベンデスネ」  (人間は、色々故障して不便ですね)
ユキ 「アナタだって、タマかなんか一つでも切れたらエンストよアナライザー」
ナレーション 「森ユキはアナライザーと共に、イメージルームへと進む」
ユキ 「ホログラフのプログラムチェックしてくるから、待ってて」
アナライザー 「ヘイ」
ナレーション 「ユキがプログラムの点検をしている、ユキは背後に気配を感じた」
ユキ 「誰? そこにいるのは?
はっ!」
ナレーション 「振り向いたユキに向かって、四方八方から無数の手が伸びて来てユキのカラダを押さえ付ける」
ユキ 「きゃぁぁぁぁぁぁ」
アナライザー 「しっかりして下さい、私の腕の中だからしばらくはしっかりしなくても、差し支えはありませんが・・・・
しっかりしないのが、長すぎますねぇ。
私が何かしたと誤解されても困ります。佐渡先生に助けてもらおう」
ナレーション 「アナライザーが医務室へ向かう、そこには古代、徳川をはじめ数名の乗組員の姿もあった。
しかし皆、中の佐渡を静かに見ているだけだった」
佐渡 「酒が飛ぶ! 酒が飛ぶ! どうしたらええのか」
古代 「佐渡先生!」
佐渡 「おっ、古代か、酒が飛ぶのだ、助けてくれ!

ん? 幻覚か・・・・、こりゃいかんなぁ・・・
何? お前等もか?」
ナレーション 「皆、照れながらもうなずく、ひとり真田が冷静に状況を説明する」
真田 「ほとんど艦内の全員が幻覚症状に悩まされているようです」
古代 「艦長は大丈夫だろうか?」
ナレーション 「艦長室、沖田艦長が幻覚に襲われていた」
ナレーション   「沖田さん」
沖田 「ん?」
ナレーション   「ボクたちは死んだアナタの部下だ」
古代   「宇宙海戦で死んだ、アナタの部下だ」
沖田 「おおぉ、古代くん、古代守! 石黒! 小松崎も! あぁ、キミは西崎司令官!
キミは第一次宇宙海戦で死んだ山本君! そうだ、キミは勇敢だった藤川!」
ナレーション   「アナタはなぜまだ生きているんだ」
古代   「ボク達だけ死なせて、なぜまだ生きているんだ」
  「恥ずかしくはないのか」
佐渡   「ボク達を死地に追いやってアナタだけ英雄になりたいのか」
古代   「男らしく責任をとって死ぬべきだ」
ナレーション   「死ぬべきだ」
  「死ね」
佐渡   「死ね」
ナレーション   「死ね」
沖田 「私は決してキミ達を忘れてはいない、ひとり英雄になろうとも思わん。
ただ、時が来るのを待っているだけだ。もう少し待ってくれ」
ナレーション 「そこへ佐渡、古代、島、真田等が入ってきた」
佐渡 「艦長!」
沖田 「佐渡先生」
古代 「艦長」
沖田 「うん、夢を見てな、死んだ部下や友人に会っていたんだ。
古代の兄さんもいた」
徳川 「沖田艦長も・・・・」
沖田 「何、全員が幻覚を?」
「とても悲しくてツライ幻覚ばかりを・・・」
沖田 「全員がか・・・・」
アナライザー 「私は全然何も見ません、健康です。
ただ、変な方向からエネルギー線のような、宇宙気流のような物がヤマトへ流れ込んでいるのを感じますが・・・」
古代 「流れ込んでいる? 真田さん!」
真田 「うむ、今分析してみる。
もしかしたら・・・・。」
ナレーション 「全員第一艦橋へ移動する。真田の指示で調査した、天球レーダーからのデータが送られる」
真田 「方位、右45度、距離28宇宙キロ、極超短波に似た未知の通信波のようなものです。」
古代 「通信波」
ナレーション   「天文班、通信源を探知! 大スクリーンに転写します」
沖田 「これか」
真田 「大きさ質量共に火星と同じくらいの惑星です」
「その右のは?」
真田 「小さな太陽だ。他に惑星はありません。」
沖田 「太陽一つに、惑星一つの太陽系か」
古代 「さみしい太陽系ですね」
ユキ 「あの星からわたしたちに幻覚を呼び起こす何かがヤマトをめざして発信されているなんて」
アナライザー 「おそろしい」
「古代、こりゃサイレンの惑星だ」
古代 「そうだな島、ユリシーズの話の中にもあった・・・・・
太古、船乗りを歌声で誘って難破させたというサイレンの女神の呼び声そっくりだ」
沖田 「ヤマトを呼んでいる」
佐渡 「デスラーの支配下にある星かな?」
徳川 「ガミラスの基地があるのかもしれん」
真田 「だが現実にものすごい幻覚波だ。もうしばらく続くと全員発狂しかねない」
沖田 「それに、どうして全員の個人的なデータを持っているのか調べる必要がある。
ガミラスの手先だとしたらなおさらだ。
島、あの星に接近しろ」
「はっ」
ユキ 「サイレンの惑星、言葉では表現しようのない不思議な色をした星だわ」
沖田 「全艦非常戦闘配備! どのような幻覚が現れても目もくれるな、全部作り物だ!」
佐渡 「酒が飛ぶのならワシゃかまわんがのう」
沖田 「面舵30度 ゆくぞ!」
ナレーション 「ヤマトはサイレンの惑星に接近する。森ユキは、古代、島の席の間に入りつぶやくように質問を投げかける」
ユキ 「あの星に幻覚を送ってくるような生物がいるとしたら、どんな形をしているかしら?」
古代 「それは・・・・・」
ナレーション 「古代がユキの質問に答えようとしたが、思わず言葉を飲んだ」
古代 「どっちに聞いたんだい?」
ユキ (照れながら)「え、あら、どっちでもいいのよ」
アナライザー 「ユキさん、本当は古代さんと島さんとどちらに聞いたんですか?
ああいう曖昧な聞き方は良くないものです、許されない悪いことです。
どちらかハッキリ決めてもらわないと、混乱します」
ユキ 「ごめんなさい、男の人ってそういうものなの?」
アナライザー 「あらゆる事が気になって気になって、仕方がないものです。
女には永久にわからないでしょう、いけないことです」
ナレーション 「その頃、ガミラス星のデスラー総統が、サイレンの星に通信を送っていた」
デスラー 「おおジュラ、元気か・・・・
あのヤマトがそちらに向かったのに、なぜデータを送ってくれないのだ。
メラをその席に呼べ」
ジュラ 「お母様、デスラー総統が通信席へ来てと・・・」
メラ 「データなら後でまとめて送ると言いなさい、ジュラ。
それにジュラ、彼の事を総統などと呼ばないで。
口では強がりを言っているくせにスターシャなどに心を魅かれて、私と実の娘をこんな辺境の星へ追いやった卑怯な男なのだから」
ジュラ 「はい」
ナレーション 「ジュラは母のメラの言葉をそのままデスラーに伝えた」
デスラー 「そうか、わかった。自動通信でいいデータだけでも至急送ってくれと伝えてくれ。

ジュラ、その星はさみしいか?」
ジュラ 「いいえ、お母様が一緒においでですから」
デスラー 「そうか、じゃあなジュラ」
ナレーション 「デスラーは、通信を切った。愛した女とその娘にそれだけの言葉を残して・・・」
デスラー 「ああ、メラは心優しくいい女なのだが、あいつときたら他人の頭の中の考えをそっくり感知してしまうやっかいな種族だったのだ。
100万宇宙キロも離れていても、指向性増感機の助けを借りれば、大群衆の中の一人ひとりの脳の働きを性格に読みとってしまう。
そんな女に毎日側にいられてみろ! 全部ばれて何も出来やしない!
その上あいつは相手の性格や経験に合わせて幻覚映像まで送れるんだ」
ヒス 「おさっしします、総統」
デスラー 「うるさい! 当事者にしかわからん事だ! 口を出すな!

サイレンの星付近のパトロール隊に伝えろ、ヤマトがサイレンの星へ降りるのを妨害しろと!」
ヒス 「パトロール隊ではヤマトには勝てません」
デスラー 「わかっている、どうしても邪魔出来ないときは、サイレンの星の方を破壊しろ!
メラとジュラを殺せ!」
ヒス 「しかし、あれは総統の・・・」
デスラー 「いうな!
メラ、お前に私の心が読めるのならわかってくれ。今の私にはガミラスの未来の栄光の事しか頭にないのだ」
ナレーション 「サイレンの星へヤマトが接近してくる。それを察知したメラがジュラに話しかける」」
メラ 「ジュラ、ヤマトはとうとうここへ来たわ。
普通の人間ならなるべく早く幻覚波の届かない遠くへ逃げることに努力するのに・・・・
あの船だけは違う。
あの地球人は全員必死なのよ、私にはよくわかるわ。
生物の心を読むのが私たちサイレン人の特技ですからねジュラ・・・」
ナレーション 「ヤマト艦内、非常警報が鳴り響く」
ユキ 「ガミラスの艦隊が接近します」
沖田 「発信地点はまだわからないか?」
真田 「今は発信をやめています」
ナレーション 「サイレンの星、ジュラがレーダーを見つめる」
ジュラ 「お母様、ガミラスのパトロール隊が来ます。ヤマトの方は、今この真上です」
メラ 「ライトをつけて位置を示しなさい」
ジュラ 「ヤマトに?」
メラ 「そう、ヤマトに・・・・、そうする他に私たちが生き残る術はありません。
いいえ、私は死んでもいい。でもジュラ、アナタだけは絶対に死なせはしない。
たとえデスラーが・・・・・アナタの父が死んでも、アナタだけは生きて血を残すのです。
私と、そしてあのデスラーの・・・・・」
ナレーション 「ガミラスパトロール艦が接近してる来る」
沖田 「ガミラス艦隊はどちらを狙って来るのだ?
ヤマトか? それとも・・・・・」
「光が・・・・、真下に光が見える」
真田 「あれだ、あれが発信源だ! 人工構造物がみえる」
ユキ 「ガミラス艦隊がそこへ向かいます。あれを攻撃するつもりです」
ナレーション 「ガミラス艦隊は、メラとジュラのいる施設を攻撃してくる」
ジュラ 「ガミラス艦隊が! お母様!」
メラ 「やはりデスラー、アナタは・・・・」
沖田 「波動砲発射用意! 目標前方ガミラス艦隊」
真田 「あの艦隊にあまり気を取られると、下から・・・・」
沖田 「かまわん!」
ナレーション   「エネルギー充填、プラス100。エネルギー弁閉鎖。エネルギー圧力プラス200」
古代 「セーフティロック解除、圧力限界へ」
ユキ 「敵艦隊までの距離、艦首前方5万キロ」
徳川 「エネルギー充填100パーセント」
古代 「ターゲットスコープオープン、電影クロスゲージ明度20」
真田 「目標速度40宇宙ノット」
徳川 「エネルギー充填120パーセント」
古代 「軸線修正、左へ3度・・・・・・。よおし、軸線に乗った」
沖田 「発射10秒前、対ショック、対閃光防御」
古代 「5 4 3 2 1 発射!」
ナレーション 「ヤマトの波動砲が火を噴き、ガミラス艦隊を一気に粉砕した」
沖田 「よし、あの発光点へ降下しよう、ヤマトの敵でもないようだ」
ジュラ 「お母様、ヤマトが・・・・・。
(驚いて) お母様!」
ナレーション 「メラはナイフで自らを刺した」
メラ 「通信機を・・・、デスラーにつないで・・・・」
ナレーション 「通信パネルにデスラーの姿が現れる」
デスラー 「どうしたメラ!」
メラ 「どうした? 私たちを殺そうとしたくせに!」
デスラー 「素直にヤマトの乗組員の性格データを渡してくれないからだ」
メラ 「アナタ方のデータを・・・・、ヤマトに渡しはしないかと、私たちを・・・・・、消しにかかったのですね・・ デスラー」
デスラー 「わかってくれ、メラ、私にはガミラス星の運命がかかっているのだ」
メラ 「アナタにデータを渡さなかったのと同様、ヤマトにもデータは渡しません。
・・・・ヤマトも、アナタもご自分の力で・・・・、やれるだけやりなさい・・・・。勝った方が生き残るのです・・・・・。
デスラー・・・・私は・・・・」
ナレーション 「メラは最後まで言い終わらぬうちに息絶えた」
ヒス 「総統! サイレンの星までの回線が不通になりました。メラ様が自殺なされたようで・・・」
ナレーション 「西暦2200年9月。今まさに宇宙戦艦ヤマトは地球帰還目前だった。ジュラを乗せた宇宙船は銀河の中心へと針路を変えていた」
ジュラ 「私はジュラ、私にはわかっていた。デスラーの心も、母の心も・・・・・・。
そして降りてきたヤマト乗組員の心も・・・・。
母はデスラーを愛し、けなげな地球人たちも愛していた。
あの鉄のような沖田艦長の・・・・・、生きて地球の土を踏むつもりのない決意も知っていた。

その後、デスラーのガミラス星はヤマトとの戦いに敗れた・・・・。
そしてヤマトは放射能除去装置・コスモクリーナーDを持って地球に向かった。


そう、私の父、デスラーが最後の戦いでも死なずヤマトを追っていることも知らず・・・。
だから私もヤマトを追ったのだ・・・・・。
本当は、どうして追ったのか私にもわからない。
ヤマトを追って、デスラーの事を知らせようとしたのか、デスラーの・・・・、父の船を追ってヤマトと戦おうとしたのか・・・。
人の心はわかっても、自分の心だけは永久にわからない。
私がヤマトに追いついたとき、夢から醒めたとき、幸か不幸か最後の戦いは終わっていた・・・・・。
間に合わなかったのだ。
父の船は、その影もなく、目の前に広がる銀河へと・・・・・・。
その中へ帰っていくヤマトだけがはるかに見えていた。


私はジュラ、父を愛し、地球人を愛した宇宙の孤児・・・・・。
私がこれからどこへ行けばいいのか教えてくれる者はいない。
私はジュラ、その信ずるままにガミラスの栄光と共に死んだ偉大なデスラーの娘・・・・。
私はジュラ、永遠にさまよう宇宙の娘・・・・・」