リカルド ”El Finito” ロペスRicardo Lopez
Title: WBC Straw(あえてストローにしました) Weight 22回防衛
     IBF Light Fly Weight
戦績 49戦48勝(35KO)1分 (4/21現在)
生年月日 1967年7月25日 メキシコシティ


私が海外で一番好きなボクサーです。
戦績を見てもらえばわかるとおりロペスは今まで負けたことがない!しかも、アマチュアでも40戦全勝(28KO)と完璧な成績を残しているのです。つまり、生涯一度たりとも敗北したことがないのです。

ボクシングは、ニックネームどうり’El Finito’そのもの!フットワークは、ストロー級でも郡をぬいて速く、パンチは正確無比しかも最軽量級にしてワンパンチでKOする破壊力を持っています。ガードも常に高く、勘も抜群に良いため、めったなことでは被弾しません。打たれ強さに欠点があるといわれていますがまったく気にならないくらいディフェンスはしっかりしています。そして、常に冷静に相手のダメージの度合いを確認してほんとに弱ってからしとめにいくのでラッキーパンチもくいません。

個々の戦力について詳しく分析してみましょう。すべてのパンチに共通することなのですがロペスは体の軸をぶらさずに最初に腰を回転させてワンテンポ、パンチを出すのを遅らせて「でこピン」(この表現が適当かどうかわかりませんが)をするときのように溜めをきかせて”びゅっ”という感じでパンチを放ちます。特にこの傾向が見られるのが左フックです。18度目の朴との防衛戦を見ていただければよくわかると思います。一見、大ぶりにも見えますがパンチのスピーが速く、高度なフェイント(肩の微妙な動きなど)をかけているためビシビシ当たります。

右ストレートは、右足で強くリングを蹴って踏み込んで打ち込むため打ち抜きがきいています。ロペスは常に半身に構えているため対戦者には実際よりも距離を感じるのでしょう。そこで、鋭く踏み込で打ち抜くんですから、打たれたほうはたまったもんじゃ有りません。13度目の防衛戦ヤミル・カラバリョ戦を見ていただけばわかるでしょう。

左アッパーについても語らなければならないでしょう。ロペスの左アッパーは、はっきり言って大ぶりです(特に顔面への)。しかし、普通では届かないような長い距離から鋭く振りきるため対戦者は見えないのでしょう。しかも左フックにも共通することなのですがジャブと同じフォームで打ち込むために余計にかわしづらいのでしょう。そして、円を描いて天に向かってまっすぐ伸びる左アッパーは芸術的に美しいのです。15度目のアラ ビラモアとの防衛戦の最後の左アッパーなんか世界中のボクシングファンがあまりの見事さに感動したことでしょう。

初期の防衛戦のロペスは接近戦がうまくありません(それでも抜群に強かったが)でしたが、ベリスタイン トレーナーがついてからは体を柔らかく使い、ショートのパンチもうまくなりました。12度目の防衛戦ハビエル・バルゲス戦がそれをもっとも具現化したものでしょう。ショートのアッパー、フックがビシビシ当たりまくってました。サウスポーも初期のころは苦手としていましたが、17度目のモーガン ヌゥデゥモとの防衛戦では、オーソドックの選手と戦っているかのようにジャブをうまく当てて八方塞に陥れていました。
ディフェンスについても詳しく述べておきましょう。

最初にも述べた通りディフェンスは鉄壁といっていいでしょう。ゴングが鳴る前から赤コーナーでガードを高く上るほどガードには気を使っています。それでいてガードに頼ったディフェンスでありません。フットワークでいなしもするし、目も非常にいいのでほとんどパンチを受けません。さらに、先に述べたように体を常に半身にしているため相手からはパンチを打っても届かないように錯覚させるのでしょう。ベリスタインのおかげで体を振ることも覚えて鬼に金棒状態です。

しかし、最近では年齢的な衰えからか微妙にロペスの感覚が鈍ってきてパンチを被弾することも多くなってきました(アルバレス、グリッグズビー戦など)。

ロペスはリングの外でも紳士的で非常に好感が持てます。
すべては拳で語るみたいな感じでそれもまたかっこいいのです。
WOWWOWに出演したときなんか全国のロペスファンがうっとりしてたことでしょう。

グリッグズビー戦後、メキシコの新聞で引退をほのめかしたようです。
一般人にはなじみの少ない、小さな巨人はファンの間では伝説として語り継がれていくことでしょう。なぜなら彼が今までもそしてこれからも史上最強のストローでありつづけるからです。