’77 ERVIN・SOMOGYI D ROSE

  
'77年のDタイプのソモギです。ソモジ氏が鉄弦ギターを作り始めた年で、鉄弦としては数本以内のシリアルとなると思います。「最初期の鉄弦ギターだ」とソモジ氏ご自身がおっしゃったそうです。古い年代のソモギは、MKシリーズとアプローチは違うものの、「鉄弦でクラシックの弾けるギターを作る」というコンセプトが共通しているように感じます。この年は、あるクラシックギター製作の発表会にソモジ氏が出品し、周りのギターの素晴らしさにショックを受けて製作家をやめようかと悩まれた年でもあったそうです。
 
ヘッドは、まだ、とんがりヘッドではありません。’83Dメイプルにはトラスロッドが入っていませんが、これには入っているようです。サウンドホールロゼッタもクラシックギターに装飾するような組木細工のロゼッタです。
指板のアールはなく、まるでクラシックのようです。ポジションマークもドットで「あればいいだろう」といわれているように感じます。
 
サドルは’90sまでのものと大きく変わりませんが、ベリーブリッジの両翼はクラシックギターを思わせます。ネックヒールも’80s以降のものとは異なり、高さのあるものです。
 
トップはスブルースとのことですが、私にはヨーロピアンともシトカとも違うように感じます。ソモジ氏もよく覚えていないとのことですが、「年代的にはシトカのばず」とのことです。木目は広めで全体に赤みが強いです。インド(?)ローズは見事なもので、かなり硬質で重いもののようです。何故かホールから覗くと幾つか小さな穴があり、塞がれているものの、外の光が見えます。虫食いかも・・と思いつつ、ローズウッドを食べる虫が思いつかず・・こうした穴を開けるギター製作の手法もあるとも聞きました。

ラベルも’80s以降のものと異なり、シリアルの記載はありません。"for Ellie Lewis"と自筆で書かれています。ソモジ氏によると、女性アマチュアプレーヤーであるとのことですが、詳細はわかりません。この名前はソモジ氏のホームページにも記載されています。
ギターの音色は'83Dメイプルに、かなり近いです。ローズなので音に艶がありサスティーンが長いです。'80s前半を中心にウィンダムヒルのギタリスト達がソモギギターを演奏しましたが、彼らの音はこのギターの音に最も近いのかもしれません。ですが、これも「小松原俊」を弾けるギターではなく、リセールはきかないかもしれませんね。(笑)