・製作家の手による初めてのスチール弦ギター ~ ラーソンブラザーズのギター

製作家の手による初めてのスチール弦ギターの製作は1800年代末で、ラーソンブラザーズが、大音量化を目指して、マンドリンのスチール弦を応用してギター製作をしたのが始まりと言われています。カール・ラーソンとオーガスト・ラーソンは、1880年代にスウェーデンからシカゴに渡ってきた移民です。独特のアイデアを持ち、当時は、他の全てのギター・メーカーがガット弦用のギターを作っていた時に、マンドリンに使われているスチール弦に注目しました。1900年前後は、マンドリン・オーケストラ・ブームで、そうした背景がスチール弦ギターの製作を後押しした面もあったと考えられています。当初1890年頃に「チップマン」というブランドで、音楽教師、出版社、ギター・メーカーや卸売のロバート・マウラーという人物のために製作していたが、1900年初頭に病に倒れたマウラーの名と工場をラーソンブラザーズが買ったことで「マウラー」ブランドを立ち上げました。これと並行して1900年代初めから、「ダイヤー」と「スタール」という会社にマンドリンやハープを提供しています。また、彼らは「プレイリー・ステイト」というブランドを1920年代後半にギターのブランドとして立ち上げました。1904年には、スプルースの間にローズウッドを挟み込んだラミネート・ブレイシングを開発しました。表面板と裏板に少しだけアーチをつけてテンションを高める工夫もしています。ラーソンブラザーズのギターボディには、1930年代初めになると、太い鉄棒が組みこまれたものなどもあります。それらは幾つも現存しており、優れた耐久性を持っていたと言えます。スチール弦ギターの構造において彼等は多くのパテントを得ているといいます。ツリーオブライフと呼ばれる豪華なインレイを入れたのもマーチン社より早いようです。1930年代中頃からは「ユーフォノン」というブランド名を14フレットのギターに使うようになりました。