1.ヘッドの構造

 クラインギターのネックは、よく言われることですが、まるでリュートのように大きく角度がつけられています。ゼロフレットにより弱くなるテンションを補正して、適正なものにしているとのことです。おそらくは、マークシリーズへの一つの批判であるテンションの弱さも考慮した面があったような気がします。にもかかわらず、クラインギターのテンションは、比較的柔らかいようにも感じています。
 両面ともにつき板があり、前後からは見えませんが、側面にはヘッド裏からほぼまっすぐに板を継いだ線が見られます。クライン氏は、板を曲げて継がずにこの角度をつける工夫も研究しているとの話しもありますが、なかなか難しいのではないかと思われます。
 両面につき板があるのは、この急な角度のヘッドを補強する狙いもあるようです。
 クラインギターのゼロフレットの様子です。
「ガイド」と呼ばれる白鳥貝製のように見えるナットには、各弦の太さに合わせたわずかな切れ込みが入っていて、支えているというよりは、弦の方向をコントロールしているだけのように思います。
ゼロフレットの効果により、開放弦とハイフレットでの音色に響きの差はそれほどありません。
ただし、ナットで弦高調整できないことと、開放弦の特徴を生かしたプレイはできない等のデメリットも存在します。

細身のヘッドは、ガイド(ナット)上で、ほとんど方向を曲げられておらず、スムースです。エボニーボタンのシャーラーペグ。