5.ブリッジ 


MK53 インピーダンス・マッチング・ブリッジ



サドルL            サドルN         

 
   サドルH        MK81のローズ枠サドル
            

インピーダンス・マッチングブリッジは、低音弦側と高音弦側とで面積を大きく変えてあります。6本の弦は、おのおの異なったパターンで振動しており、低音弦の振動の波形は大きく、高音弦の波形は小さなピークがたくさんあります。低音弦では低周波、高音弦では高周波を強調することで、低音から高音までバランスよく弦振動を伝えるシステムとして考えられたブリッジです。
私のこれまで確認したものは、’75年から後になればなるほどブリッジの厚さが厚くなって(ブリッジだけで3mmは違い、サドルも高いものがつけられているものが多く、合わせると6mmも違う)いました。ネックもブリッジの高さに応じた仕込み角が付けられています。この仕様変更が何の為にされたかは、はっきりとはわかりませんが、このことにより少なくともサウンドホールロゼッタと弦との距離ができ、弾きやすくなったのは間違いないです。ただし、アーヴィン=ソモジの彼のシステムにおけるブリッジの「質量が35gを中心にあるレンジを越えると音が変わる」という理論をもとに考えれば、音に対する影響は大きいと思われます。基本的に、ブリッジの重量が増せば低音が強調され、サスティーンが伸びますが、そのかわりに高音はおとなしくなり、ブライトさは減少します。マークシリーズのボディが低音のブーミーさに欠けたことからプロトのシェイプの変更がされたことから予想すれば、「低音を重視した」のかもしれません。
ちなみにクラインギターは初期のMKと同じ薄いブリッジを採用しています。
ブリッジの工作上の出来不出来も後の年になるほど大きいようです。
サドルは樹脂製のL・N・Hとローズ枠のものの4種類確認しました。L・N・Hの樹脂は同じものでできており、比較的重いものです。L・N・Hは、高さの違いではないかと考えられます。ローズ枠のものは樹脂の種類が違います。ローズ枠のサドルはMK81仕様と思われます。
高音側と低音側の弦長の違いは、プロトでは1mmしかないそうですが、私の確認した製品版のマークシリーズは全て3mm以上違い、仕様変更されたようです。

クラインS39.6のブリッジ
薄さは、MKの初期のものと同じ位。
高音部と低音部にはっきりと分けてある。