2.ネック 

 
MK53ネック                   MK53ネックジョイント

 
MK72指板                MK81ネックブロック


MKシリーズのネックは、MK81及び他のごく一部を除いてフレームメイプル3ピース指板となっています。MK99も、写真上の確認ですが、3ピースでした。これは、ギブソンの伝統もあると思いますが、密度の高い木であるほうが、弦振動を吸収せず、ブリッジをより激しく振動させる、という考えに基づいてもいるようです。ただ、マホガニーに比べてメイプルやローズ等のハードウッドは「安定度」の面で劣る為、ワンピースよりも3ピースのほうが狂いにくいという利点から3ピースが採用されたと思われます。
(但し、メイプルは個体差が大きいことと、振動の内部減衰は高い材であることから、一概にそうは言えない面もあります。)
フレットもオリジナルでは、すり合わせのよくされた、太く低いものを基本として使っています。けれど、これも時期によりいろいろなフレットを使われてしまい、フィンガー向けのギターにも関わらず、ジャズ系エレキ用の転用のようなものもあります。
ネックジョイントは、T字型をしており、MKの為に特別に開発された大きなネックブロックにぴったりと接触しています。弦振動をしっかりとボディに伝える為の工夫であると思われます。マイケル・カーシャはトップ8箇所の振動をコンピュータ解析しており、その実験の過程では、こうしたネックジョイントについても実験が試みられたと思われます。ジョイント部の形としては、アコースティックギターよりも、クラシックギターに似ているような気もします。
MK81とMK99のネックブロックは3ピースになっており、より強度が高められています。MK72は2ピースです。MK81等のネックが継ぎのあるワンピース(クラシックの一般的なつなぎ方)だった理由はよくわかりませんが、それだけよい材料を選んであるのは間違いないです。
この特殊なネックジョイントの為、ボディ上の指板の側が浮き上がるギターが多く見られることと、リセットを前提に考えると、特に作業を難しくしてしまう、という欠点もでています。

*誤解がないように、3ピースメイプルネックは「Gibson Fabulous Flat−Top Guitars」によれば、終戦後すぐに他の器種において取り入れられています。
また、同じ資料によれば、ナッシュビルで作られたネックジョイントはマークシリーズと同様のものが、J180等、他の器種にも取り入れられています。ただ、このネックジョイントを生かすには、マークシリーズの為に開発されたネックブロックを採用する必要がありますが、J180等、これらのギターにこの特殊なネックブロックも採用されていたのかは不明です。