入手方法も我侭なら、その後のリペアもめいっぱい勝手なお願いをしたマーク81サンバーストです。
 「期間はどれだけかかってもいいから、リペアマンさんの必要だと思われる所を全部直してください。」
指板の作りなおしと、サイドの剥がれ直し、ネックのリセット、サドル調整、以前のリペアによるニカワ剥がしまで、ほぼ、一年間かけてやって頂きました。
完了して送って頂いて弾いてみると、まるで違うギターでした。
 

MK81SB・趣味のリペア

  

左がリペア前、右がリペア後です。サイドを貼りなおしてバック全体の縮れてとびだした細かな木材を取り除いて頂きました。


エンドピンの横の白い線もサイドの長さを調整する為に入れられたと思われるシムです。


とても綺麗な仕上げの指板。オリジナルのインレイを取り外して、そっくりに作って頂きました。バインディングの内側の赤のラインも入れて頂きました。


以前は指板とネックの接合部分からニカワがはみ出していました。このマーク81の一つの問題点と思われたヘッド角の調整をして頂くためと、以前のリペアでの、もともとのネックの削りすぎの調整のため、指板とネックの間にもシムが入っています。見かけ上は、仕上げが見事な為にシムの存在は全くわかりません。
ただ、その為にネックはかなり太くなりました。きっとこのギターを弾きにくいと思わずに弾ける人は限られてしまっているかもしれません。
私にとっては、フレットがしっかりしてくれて、一音一音、とても弾きやすくなりました。


ネックリセットもしましたが、全くその痕はわかりません。MK53の場合は、マークシリーズを始めてリセットして頂いたこともあり、低音側のつなぎ目付け直したと言われればわかると思いますが、これはほぼ、完璧です。


サウンドホールの中までニカワがこぼれていました。ピックガードにもついていたし、きっと、私の気づかない所にもあちこちこびりついていたと思われますが、全て綺麗に取り除いてくれました。



写真ではよく分かりませんが、サドルも音程調整、各弦の接触、弦高、仕上げ、どれをとっても感心させられます。
ブリッジピンの穴と穴の間にも、よくある「割れ」が入っていました。

音色もかなり変化しました。以前のものより私にとっては、ずっと気に入った音になっています。実質的に「作りなおし」をされて、音が若返った面もあると思います。低音などは、まだまだ、これから変化しそうです。(※リペアから戻って1年経ち、かなり6弦もよくなりました。太く、少しうなるような低音を持つギターは、手持ちのギターでは、これだけです。まとまりのいいストロークで、かなりいい感じです。)

リペアをする上で大切だと思うのは、自分がどうして欲しいのか、充分にリペアマンさんにわかってもらうことだと思います。自分の演奏スタイルや癖等も含め、必要な情報をしっかり伝えておく必要があると思います。例えば、「低めの弦高」ではなくて、「1弦12フレットでOmmの高さで」といった具合に・・。私がリペアをお願いしたリペアマンさんは、「本当はここを直しておいたほうがいいと思っても、お店経由の場合、他を勝手にいじるわけにもいかないんですよね。」と話されていたことがあります。お店経由の場合、専用の「要望シート」のようなものがあるといいのかもしれませんね。
それと、もちろん、自分が信頼できるリペアマンさんにお願いするのが大切ですね。トム・ウィーラーの「ザ・ギターブック」の中で、デヴィット・ラッセル・ヤングは「ブレーシング等、同じ作り方をしても違う製作家が作ると違う音がする」といった趣旨の発言をしています。それと同じように、同じギターのリペアをしてもリペアマンさんの判断や癖、仕上げ方の手法等によって、かなり違った状態に仕上がる事はあるかと思います。「木は生き物」ですから、腕のいいリペアマンでも、予想外に改善されないこともあるかもしれません。そうした時にも、自分自身で納得のできるように、信頼できるリペアマンを探しておくことが必要だと思います。(でも、壊れたギターを直して使う人自体、限られた「変わり者」かもしれませんね。)
’01.3.29

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