Gibson MARK99                                          

 正式出荷本数1本、製作本数12本、内リチャードシュナイダー本人が2本を処分。現存本数9本の幻のギターとも言えるマーク99です。
 今回、アーモンドグリーンさんのご好意で、手に入れることができました。
 トップ・ジャーマンスプルース、サイドバック・ハカランダ、どちらも見事な柾目で、特にトップのジャーマンは、私が今まで見たどれよりも目の細かいグレインが入っており、トラだらけです。
 指板の作りも見事で、とても弾きやすい・・。ネックはかまぼこ型の太めのものですがクライン並みに弾きやすいです。フレットも太く低いものが使われており、指板を貼りつけた後に、バインディングを削り込んであります。低音から高音まで見事にフラットな音色です。
 ヘッドのロゴは、ロッドカヴァーに彫り込まれています。このカヴァー、3層の手工木製の合板で、切り絵のように彫り込みがされています。ナットもスキャロップで、黒檀とスプルース(?)との積層状になっています。
 サウンドホールリングは意外にもプラスティック製でした。
また、サウンドホール内のラベルには、リチャードシュナイダーのサインがあります。● of 12とあるので、始めから12本限定の予定だったのかもしれません。シュナイダーは、それまでも年におよそ4本程度のギター製作しかしていないそうです。
銀杏型のインレイ。ブリッジピンと指板のドットには銀のリングがくすんで光っています。
 バインディングは、メイプルを染めた物でしょうか。この紫のセンスだけは近目で見ると不思議です。赤のラインも木を染めて作られています。
 ブリッジも、手で触るとトップまでなだらかに指がすべるようです。
内部のブレーシングはまだ、未確認ですが、バックには、やはりX型にトーンバーが貼られています。
 このギターは、シリアルとネックのフレイムメイプルのトラ目から「Gibson’s Fabulous Flat−Top Guitars」に写真が掲載されている二本のうちの一本であることがわかりました。
 とてもバランスよく、どのマークより優しく澄んだ気品ある音色でありながら一つ一つの出音は大きいです。反応がとてもよく、ハンマリングやプリングが綺麗です。バロックなど弾くと綺麗なのではないかと思います。
ようやく、シュナイダーに出会えたような、彼の作りたかった音がわかったような気がします。私の「シュナイダー探し」にとってMK53が出発点であり、MK99が到着点と言える気もします。