ERVIN SOMOGYI ’83 D Maple

  

’83年のメイプルソモギです。ソモギは伝説のルシアーとも言われることがあります。また、フィンガーピッカーには夢のギターとも言われる事があります。三百数十本のギターを製作されてきたそうですが、このシリアルは70番台というかなり初期ものです。これまで十数本試奏した印象では、ソモギは一本一本音が微妙に違いますが、年代によってはかなり印象が違います。’80sに彼の工房が火事に遭遇したそうですが、その前後では特に音作りに違いがあると指摘する方もいるようです。このギターは、ハカランダでもなければカッタウェイも入っておらず、「売れ筋」のモデルではないのですが、私の知っているソモギの中でも、かなり大きな音で鳴ります。私の他の手持ちの中でも、最も表現力と音量のあるギターの一つと言えると思います。
このギターと、私の他の手持ちのギターで、最も似た音を出すのがMK99です。ハカランダとメイプルという違いがあり、作風も全く違うのですが、どちらもクラシックギターの音色を意識していると感じます。アプローチが全く違っても、目標が近い場合に、似た音になることのある例の一つと思います。


  

彼のギターは特徴のある「とんがり」を持つヘッドです。つき板はくるみでしょうか。スキャロップナットを採用しています。スキャロップナットは、開放時に必要以上に低音の響くのを抑えます。


  
見事なヨーロピアンスプルースとキルトメイプル。ブリッジはバラを象徴したデザインとのことです。

 
ネックヒールは低く、ハイフレットまで弾きやすいです。サウンドホールインレイは、彼のメイプルものに多く見られるアバロンリングのパターンです。

とにかく表現力があり、微妙なタッチも表現されてしまうので、腕のよしあしがわかってしまうギターだと思います。ライブで使うのがちょっと怖いくらいです。でも、このギターでは小松原俊氏の曲は弾けないかもしれません。(笑)