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記事:武田剛 記者           

新聞記事の内容
●名古屋・昭和区の障害者夫婦「子育て日記」

 重度障害で歩くことも不自由な名古屋市内の夫婦が、子育ての手記をミニコミ誌に連載している。妊娠が分かり、2人で大喜びした途端、両親から「中絶してほしい」と頭を下げられる。なぜ障害者の赤ちゃんは祝福されないのか……。悩みをつづる2人をよそに、元気な長男はボランティアに囲まれ、すくすく育っている。「私たちの分も歩いてほしい」。2人は息子に「歩(あゆむ)」と名づけた。



 名古屋市昭和区のコンピューター・プログラマー小島功さん(三六)と万智さん(三二)夫婦。生後まもない時の病気が原因で、二人とも脳性小児マヒになった。手足が不自由で、電動車いすの生活。全身がこわばり、話すにも苦労する。

 ●両親は反対

 結婚は三年前。障害者の自立を支援する「AJU自立の家」(同区)で新婚生活を始めた。今年一月に妊娠が分かり、AJUが発行している「福祉情報誌」で「マッチのマタニティライフ」の連載を始めた。
 妊娠と同時に、二人は大きな壁にぶつかった。
 両親が一番気がかりだったのは、生まれてくる子供の親が両方とも障害を持っているので、子供が大きくなって「どうして自分を生んだんだ」ということ(連載から)
 実は結婚前、親から「子供はつくらないこと」と言われていた。功さん自身も昔、「どうして自分を障害者に生んだんだ」と親を責めたことがある。孫に「同じ思いはさせたくない」と、両親は出産に反対した。

 ●自信に満ち

 「恋愛して、結婚。そして子どもを持つ。障害があっても、人間として自然に生きたい」と、功さんは両親を説得し続ける。
 万智さんも最初は素直に喜べなかった。
 私たち二人は重度の障害があるから、自分たちのことだけでも精いっぱいなのに、その上、子供を育てられるのか……(同)
 でも、周りの人たちは温かった。涙を流して喜ぶ看護婦さん。同じ障害があっても、育児をしている先輩家族の激励。そして「おれって人間だったんだなあ」と自信に満ちた夫の笑顔。
 いよいよ出産。胎児に悪いと、体の緊張をほぐす薬を控えるなどの苦労を重ねた。こわばる体と手足のしびれに耐え、八月二日、二五九二グラムの男児を無事出産。功さんは毎日育児室に通った。

 ●思いを詩に

 いま歩ちゃんは五カ月。両親や約四十人のボランティアに交代で助けられ、万智さんも育児に慣れてきた。少々時間はかかるが、緊張する手で歩ちゃんをおふろに入れ、おむつも替えている。功さんも電動車いすにおむつを満載して買い物をしている。
 「サポート態勢などの環境が整えば、子供って育てられるんですね。ボランティアの皆さんにはとても感謝しています」と万智さん。最新号で息子への思いを詩につづった。

 歩へ/(略)あなたはここから歩き出した みんなの優しさに包まれて/(略)残念ながら私たちは あなたと一緒に歩くことはできないけれど 道順や歩き方ぐらいは教えてあげられるよ/(略)私たちの分も一歩一歩踏みしめて歩いていって欲しい/いつか自分の道が見つかるまで ずっと観ていてあげるから 二人で観ていてあげるから

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 小島さん夫婦は歩ちゃんの育児を手伝ってくれるボランティアを探しています。問い合わせはAJU自立の家(052・841・5554)へ。
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