大手家電店のパソコンフロアで本体及び周辺機器を販売していました。
一日8時間から9時間労働で日給一万円と、おいしいバイトでした。
では、お客さんとのやり取りを2つほど…。
客「たくさん種類がありすぎて、どれが良いのやら分からんな。店員さん、どれがいいの?」
初心者のお客さんが一番聞きたい事ですね。
店員「お客様がパソコンを使って何をしたいかによって、お勧めの機種も変わります。」
そしてお客さんがもっとも嫌がる回答がこれです。
ワープロソフトを使ったりインターネットをやるだけなら、それこそ最下位クラスのPCで充分ですが、最新のゲームで遊びたいとか、デジタルビデオの編集がしたいといった特殊な使い方をする場合はそれなりの性能を持った機種やその機能に特化したPCをすすめるべきです。
適当な店員なら「VAIO良いですよ。人気ありますし。」とか言って高いPCを売るんでしょうが、そういう売り方をすると結局のところお客さんのPCがインテリアパソコンになってしまいます。
(※ インテリアパソコン:造語です。十分に活用されること無く埃をかぶり、ただ飾られているだけのPCの意味。)
客「何をしたいか?……う〜ん……。パソコンって何が出来るの?」(・_・)
昨今の流行の影響で、こういうお客さんがあとを絶ちません。
これでは店員としてもお勧めの機種など分かるわけもなく、以下のような問答が続きます。
店員「何かやりたいことはありませんか?たとえばご友人とメールのやり取りをしたいとか、ホームページを作ってみたいとか?」
客「いや、その辺のことは良く分からんのだけどね。みんなパソコン持ってるし、うちでも一台買っておいた方が良いかなって思って…。」
店員「………。」(--;)
冗談抜きでこういう人が多いです。
“パソコンって何なのか知らないけど、まわりがみんな持ってるから”
そんな理由で買ってしまうにはパソコンは高すぎると思うんですが…。第一こういうお客さんの場合、十中八九インテリアパソコン所有者への道を進みます。周りにパソコンを活用している人がいれば別ですが。
いや、実際こういう人にパソコン売るのは簡単なんですよ。
言ってみればカモなんです。
適当に言いくるめて、予算の許す範囲でPCを選んでしまえば買ってくれるお客さんなんです。
でもやっぱりそういうことはしたくないじゃないですか。
だからって私の販売成績が悪かった理由にはならないんですが…。((((((^_^;)
上記のケースでも分かるように、パソコン初心者の人にパソコンを売るというのは細心の注意を必要とします。
同じような意味で難しいのがこんなケースです。
客「パソコンにはWindowsとMacintoshがあるって聞いたんだけど、どう違うの?」
初心者です。
初心者というのは難しい質問をさらっと聞いてきます。
聞いたほうはたいした質問ではないと思っていても、答える方は汗だくモノです。
OSの開発史やらApple社の盛衰やらマイクロソフトの台頭やら、そんな背景を説明しても仕方ありません。
問題は機能等の実用面ですが、これに関しては「どっちが良い」というような問題でもなく、一概に断言できるものでもないでしょう。使いなれたOSの方が使いやすいに決まってるんですから。
店員「そうですね……。基本的には両方で同じことが出来ます。ただOSが違うとソフトの互換性が無いので、Windows用のソフトはMacintoshでは使えないんです。」
客「OS? ソフト? 何それ? もっと分かりやすく言ってよ。」
これが難しいところです。初心者にパソコンを売るというのは、いかに専門用語を判りやすく説明し理解してもらうか、これに尽きます。
一番良いのは、普段慣れ親しんでいるもの(料理とか他の家電製品とか)に例えてみることです。
店員「昔ビデオデッキにもVHSとβという2つの規格がありましたよね。どちらも録画をしたり再生をしたりと同じ機能を持ってますが、VHSのデッキではβのビデオテープは使えませんよね。あれと同じことです。」
客「あぁ、なるほど! そう言ってくれれば分かりやすいよ。」
でもこの例えには欠点がひとつだけあります。
客「で、どっちがβなの?」
店員「…………。」