TimeCan(タイムカン)
掲載日 2010年9月9日
情報提供者 AKILA

TimeCan(タイムカン)ってご存知でしょうか?

カップヌードルを販売する日清食品が西暦2000年のミレニアムイヤーを記念して売り出した缶詰カップヌードルです。
外見はこんな感じの銀色の円筒缶で、中にカップヌードルが1個入っています。

缶は密封されていて10年間の保存が可能という実験的・イベント的な商品ですが、 まぁ当時はミレニアム便乗商品がたくさん発売されていましたので…、大して珍しくもないイロモノのひとつでした。 私が当時働いていたコンビニでも人々から見向きもされずに大量に売れ残り、半額処分されていましたが 「話題のネタにでも」と思い、店員であった私が1個買っておいた物が現在手元にあります。 大して期待もしていなかったのですが、 どうやらコヤツ、今になって結構な話題の品としてスポットライトを浴びているのです。 どうも『缶の巻き締め不良が原因で缶内に空気が入り、品質に影響する可能性が生じた』らしく、 2004年頃から販売元の日清食品が自主回収を行っているようです。 TVCMでも回収のお知らせが流れていますので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。 密封が不十分ということは、缶詰として全く役目を果たしていないということであり、 単純に10年間放置され続けたカップヌードルと何ら変わりがありません。 ただ、全てのタイムカンが不良品というわけでも無さそうです。 公式サイトにも「一部において」と表現されているため、密封が不完全な物とちゃんと密封されている物が あるのでしょう。 いずれにしても、品質に問題があるかもしれない商品を野放しに出来ないということで、 全品回収というのは企業としてかくあるべき姿勢です。 まぁ、いくら密封されていたとしても10年前のカップヌードルを食べておいしいと感じるとは思えませんが…、 一応可食物であるということには変わりありません。 ですが密封が不完全な商品はおそらく食べられる状態には無いでしょうね。 密封が不完全な商品の場合は食べたらアウト。 密封が問題なければ(一応理論上は)食べてもセーフ。 ただし、そのアウトの確率は不明だし、素人がパッと見で缶の密封具合を判別できるわけも無く。
アウト?セーフ? 当り?外れ? 不確定要素が強いその様相は、言うなれば 十年という長い年月と 莫大な資金を費やした 全国規模での 壮大なロシアンルーレット
もちろん販売元の日清食品はそんなつもり毛頭も無いので「食べないで」「回収に協力を」と呼びかけています。 が、この問題のタイムカンを実際に食べてみたという人も結構いて、「タイムカン」とかでググってみると Webサイトやブログの記事も多く見つかります。 http://awafavorite.gunmablog.net/e80957.html http://draculaojisan.blog8.fc2.com/blog-entry-461.html http://blogs.yahoo.co.jp/noisyken/58494172.html http://yaplog.jp/becky3/archive/599 http://puhi5963.at.webry.info/201005/article_5.html http://tomo-channel.blogspot.com/2010/04/blog-post_24.html あくまでもそれらに目を通してみた印象ですが、極端に当り外れが偏ってる様子も無さそうです。 一言いえるのは「異臭がするものを食べた人はどうやら居ないらしい」ということ。 生ごみのような強烈な臭いがして、とても食べる気もおきないとか…。 食べた人のほとんどは、異臭がしていない(もしくは少ない)カップヌードルを食べているみたいです。 では、食べずに日清食品の回収に応じるとどうなるのでしょうか? 公式サイトには 「商品代金として1食につき300円 (郵便小為替) と、  また、お詫びのしるしとして1食につき500円の図書カード1枚を送付」 とあるので、合計800円相当を受け取ることができます。 送料についてもタイムカンを送る際は着払いで送ることができるので負担がありません。
素直に送って800円もらうか…、それともあえてネタのために食べてみるか…。
5秒ほど真剣に迷いましたが、やはりコンビニのとなり管理人としては いろんな大人の事情をスパッと振り切ってチャレンジするほか選択肢は無いんじゃないのか? ドラクエのエンディングでローラ姫の会話ループみたいに選択肢があるように見えて実は結論が 最初から出ているみたいな感じに。
ということでチャレンジ決定です。 で、よくTV番組で危険なスタントや脱出マジックなどに挑戦する際って、 もしもの時に備えて救急隊とかがスタンバイしてるじゃないですか。 やはりこのチャレンジも相当な危険が伴うことが予想されるので、 万一に備えて心強い救急隊にスタンバイしてもらいました。 生粋の日本人なら臭いを嗅いだだけで腹痛が治ると言われる(ウソです)海外旅行の強い味方 『ラッパのマークの正露丸』です。
さて、当のタイムカンですが外見は結構保存状態が良く、このまま店頭に並べても違和感のない輝きを放っています。
缶の底面を確認すると賞味期限は2010年9月9日、つまり今日です。
製造からぴったり10年。この日を待ち続けていました。 平日にもかかわらず賞味期限の今日が仕事の休みと重なっていたというのは、なんという偶然。 というかもはや「お膳立てはしてやったZE! 食べちゃいなYO、ユー♪」得体の知れない神様が腕を振り上げてGO!GO!サインを出しているようにしか感じられません。 もちろん仕事が休みの日なので、腹をこわしても一日中トイレに篭っていられます。 で、開封〜♪
特に異臭はしませんね。 缶の中に入っていた脱酸素材が開封後に熱くなっていることからも、正常に密封されていたみたいです。
せっかくなのでフタを開ける前に新旧のカップヌードルを比較。 左がタイムカンに入っていた物で、右が昨日買ったばかりの現行品。
ちなみに昨日コンビニにカップヌードルを買いに行って、レジ前で自分がサザエさんだということに気が付いたのは ここだけの話です。 タイムカンに入っていた方は、他のWebサイトやブログでも報告されているとおり、カップの側面が変色しています。
新旧2つを並べてもデザイン的にはほとんど変わっていません。 一番の大きな違いはカップ素材が発泡スチロールから紙製に変わっているというところでしょうか。 他にも小さなところでは栄養成分がちょっと変わっていたり、アレルギー物質表示が追加されていたりします。 時代を感じさせるのは、注意書きがやたらと増えている点です。 「やけどに注意」「電子レンジ調理不可」「移り香注意」など、10年前のカップヌードルには表示されていません。 他にも原材料等の表示部に「品名 スナックめん」とあったのが「名称 即席カップめん」となっていたり、 原材料に「味付油揚げめん」とあったのが単なる「油揚げめん」に変わっていたりと、 何でそうなったのかちょっと興味が湧きます。 調理方法も「フタを半分まではがし、熱湯を内側の線まで注ぐ」とあったのが 現行品では「フタを半分まではがし、熱湯を内側の線までゆっくり注ぐ」と、より注意を促す表示に変わっています。 多分この10年の間に「ふざけんな!熱湯注ぐときに火傷しちまったじゃねぇか!」ってな感じのアホなクレームを 日清食品にぶつけた残念な子がいるんでしょうね。 製造物責任法(PL法)はアホを大量生産するだけの法律だと思うのは私だけでしょうか? 一方で変わっていない部分もあります。 お客様相談室の電話番号なんて10年経っても変わっていませんし、 フタの開け口に表示されている「ココカラ ハガス」も相変わらずカタカナ表記のままです。 内容量も77gと据え置きです。 もっとも値段だけは変わっていますが(笑) とりあえず外包装の観察はここまでにしておきましょう。
カップのフタを開けて中を見てみます。
う〜ん…。 さすがにエビも卵も色あせていて、年月の経過を感じさせます。 でもフタを開けても変な臭いはしません。 おいしそうとは言い難いですが、特段身の危険を感じるような要素は無いです。
念のため、中身を取り出してからカップの内側を確認してみます。 やはり麺が接触していたところが変色しているのがよくわかります。 緑色はネギの色素でしょうか? お湯を入れて3分待ちます。 で、3分経ちました。
あれ?思いのほか麺が湯を吸いすぎてるような…。 臭いは…特別おいしそうとは言えませんが、普通に食べられそうです。 まずはエビを食べます。 ん? 何かボソボソとしてて歯ごたえが無い。 まぁ、仕方ありませんね。 次に卵。 ん〜。 微妙に変な味がするような…。 で、豚肉です。 あ〜。 味がほとんどしない。 最後に麺です。 お〜。 これが一番まともな感じですが、やはりボソボソ感は否めません。
密封状態とはいえ10年も経過しているので、全体的に味が劣化しているのは仕方ないのかもしれませんが、 十分食べられる状態でした。 おいしいとはお世辞にも言えませんが、保存食として考えれば十分な品質といえるでしょう。 以前、5年保存可能な災害時用保存食を期限ギリギリで開封して食べたことがありますが、 カンパンっぽい保存食が粘土みたいに変質していて、とても食べられたものではありませんでした。 あれに比べれば十分まともな味です。 今回私の手元にあったタイムカンはコンとな的価値観から言えば残念なことに外れだったようです。 しかしこれで 『密封さえキチンとしていれば10年間可食状態で保存することができる』 ということは実証されたのではないかと。 味については、もともと保存食に美味しさを求めるつもりはさらさらありませんので…。 今のところ実際に食べてから6時間ほどしか経過していませんが、特に腹痛や下痢はおこしていません。 不良在庫処分ということで大して期待もせずに買ったタイムカンですが、この通りかなり楽しませてもらいました。 日清食品にはこれに懲りず、また面白イロモノ企画をぜひとも実施していただきたいものです。
今度はロシアンルーレット無しで。

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