危険なおばさん
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掲載日 | 2000年7月21日 |
情報提供者 | AKILA |
そのおばさんは突然話し出した。 「あれ?何買いに来たんだっけ?思い出せないわ!」 店中に響き渡る声で、である。 その時私の相棒は店外清掃のために店内には居らず、また早朝ということもあって、お店にはそのおばさん以外のお客さんは居なかった。 私はすかさず営業スマイル! 結構コンビニにはこの手の人が来る。冗談っぽく店員に話しかける気さくなタイプの人がたまに来るのだ。
不意にまた叫ぶ。 「あ!そうそう!たまご!たまご買いに来たんだった!!ゆでたまごある?」 「すみません。ゆで卵はちょっと今置いてないんです。」 「あら!そう!」 でかい声だ。 「でもおでんのたまごならあるでしょ!!」 「おでんのたまごでよろしければ…。いくつお買い上げですか?」
え?(・.・;) 「だってひとつ80円位するんでしょ!高いわ!」 はぁ。左様ですか…。って、じゃあ最初から聞くなよ。 さらに私が聞いたわけでもないのに理由を説明しはじめる。 「家でゆでたまご作れないわけじゃないのよ!」 ゆでたまごぐらいなら俺にだって作れる。っていうか小学生でも作れると思うぞ。 道具だってコンロと鍋、それに水があれば良いのだから、このご時世にゆでたまごを作る設備の無い家の方が珍しいだろうに…。
「でも家で作ると高いでしょ!」 そうかぁ?コンビニでゆでたまご買うよりははるかに安いと思うが…? 「ガス代もかかるし!第一手間もかかるわ!!」 ???……。 この人はコンビニの商品の値段の意味を知っているのだろうか…。作るための設備費や人件費が含まれているからコンビニの商品はあんなに高いのに。 おばさんの快進撃は続く。 チルドケースの前に立つおばさん。(チルドケース:弁当やデザート、牛乳なんかが入ってる棚)
「寒い!寒い寒い!寒いわ!!」
「あー、寒い!」
それはお店に対するクレームか?(- -;) 「あそこ寒いわねぇ!」 そりゃ商品冷やしてんだもん、温度低いのは当たり前でしょ。それにしてもなんてオーバーリアクションな…。
おばさんの快進撃はさらに続く。 「電池!電池! 電池がいるのよ! 電池はどこ!?」 相変わらず店内中に響き渡る声である。 「電池でしたらこちらの棚にあります。」 「単三電池はどれ!?……あ、これこれ!これがいるのよ!」 「…それは単四電池ですが、よろしいのですか?」 「え!?単三じゃないの!?あら…どっちだったかしら!?」 考え込むおばさん。その場でお客さんの判断を待つ店員の私。 突然私の方を向くおばさん。 「もうっ!!いいからあっち行ってよ!!」 さんざん人に聞くだけ聞いといて、 そういうときは「ちょっと一人で見させてください。」とかナントカいくらでも言い様があるだろうに! 私は腹立たしいと共に悲しくなってきた。相変わらず相棒は店外、他のお客さんはこないし…、誰か私をこの状態から救ってくれぇ。(T.T ) ( T.T)
私のそんな心の叫びとは裏腹におばさんの快進撃はまだまだ続く。 やっと商品を選び終え、レジにやってくるおばさん。 何事も無くレジを打ち終え、お金を支払おうとするおばさん。 とその時、小銭をレジカウンターの上にばら撒くおばさん。(←これはよくある事) そのまわりを自分の両手で覆い隠すと、 それを覗きこむおばさん。 おつりを手渡そうとすると 「そこ(カウンターの上)に置いて!」 ………??。 「あなたの触ったお金は汚いから!それ募金するわ!」 普通募金してくれたお客さんにはお礼を言うのだが、この時ばかりはさすがに私も無言だった。 自分では営業スマイルのつもりだったが、もしかすると顔は引きつっていたかもしれない。 そこにおばさんの追い討ち。
かくしておばさんは怒涛の4連コンボを放ち、(その間にも大声で意味不明の独り言を叫びながら)さんざん私を振り回した挙句帰っていった。 私としてはおばさんの買っていった電池が家できちんと使えます様に(サイズが合いますように)と祈るほか無かった。 お店に他のお客さんが居なかったことが、果たしてこのおばさんと私のどちらの側にとって不幸なことであったのか…。 |
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