半額
掲載日 2002年3月30日
情報提供者 「eiji」さん


うちには半額5割引きセールというものがる。

春先になり新商品が次々と入ってくる中でフェイスがあぶれ爪弾きにされた商品を定価の半値で販売するのである。




 若者の場合
 さして興味もないようでチラッとみてはコーヒーブレンドなどを買っていくこともある。




 おじさんの場合
見向きもしない、以上。




 主婦の場合
 とりあえず、入ってきて公共料金のみを払う。
 その後、5割引のワゴンを見つけると目を輝かせ何やら漁っている。これが曲者で、強いおばちゃんになると質問攻めに追いこまれることも・・・






 ある日、いつもの様に夜勤のバイトに入る。今夜は準夜勤の子が風邪で入れず、店長と二人でやることになった。



私「暇ですね・・・」

店長「・・・・・・」


 3時間後・・・


 子供連れの主婦が入ってきた。またしても、不穏な空気を感じ取った俺はそそくさとバックヤードに隠れようとした瞬間・・・捕まってしまった。


主婦「ねぇねぇ、お兄ちゃんこれって本当に半額なん?」

私「あっ、はい。そうですよ」

主婦「ふーん」



 そう言うとおばちゃんはしばらく見入っていた。

10分程立っただろうか、おばちゃんはまだ商品を漁っている。



主婦「ねぇねぇ、これっておかしくない?」

私「えっ、なにがですか」



 おばちゃんが言うにはパンストのサイズがMとLの商品があるのだが、メーカーが同じなのに何故サイズの小さいMの方が高いのかと聞くのだ。

さらに、商品に明記されている60デニールとか、80デニールってなんなのとも聞いてきた。はっきり言って私がパンストを履くわけがないのでわかるはずもない、私は分からないですと言うしかなかった。

しかし、尚もおばちゃんのマシンガントークは止まらない。たまらず、バックヤードに逃げ込み、たまたま来ていた店長の奥さん、マネージャーに助けを求めた。

マネージャーがお客さんに説明をすること20分。何故パンストのことでそこまで長時間の話題になるかは謎である。後で聞いた話しによるとデニールとはパンストの生地の厚みのことらしかった。


おばちゃんはその後20分ぐらい店をうろつく間も様々な質問を投げかけてから帰っていった。結局Mサイズのパンストにしたらしい・・


というか、コンビニで1時間近く買い物に時間をかけないでくれ。

子供も退屈して泣きそうだったし。





その後、バックヤードでは・・・

私「・・・パンストのことなんて分からないですよ」

店長「確かに・・・必要ないものな」

私「ええ・・・」

店長「強盗でもしないかぎりはなあ」

私「・・・そうっすね」


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