YOSHII LOVINSON
AT the WHITE ROOM

2005.06.25(sat) ZEPP OSAKA

SET LIST
01 20 GO 11 JUST A LITTLE DAY
02 欲望 12 PHOENIX
03 TALI 13 CALIFORNIAN RIDER
04 SIDE BY SIDE 14 NATURALY
05 WANTED AND SHEEP 15 FINAL COUNT DOWN
06 RAINBOW -encore-
07 HATE en1 スティルアライヴ
08 CALL ME en2 FOR ME NOW
09 BLACK COCK’S HORSE en3 トブヨウニ
10 MUDDY WATER SET LIST協力:けり様



大阪初日の6/25。朝からキラキラのいい天気で、ツアーが始まって一番暑い日だった。
私は前夜から興奮状態だったが、このいい天気に、幸先がいいと単純に喜んだ。
ライブ前、プチオフ開催のため、13:00大阪入り。心斎橋へ。けりさん、よしやん、TAKAYO、みゅうみゅうさん、ももちゃん、TAKAKOさん、あきなちゃん、ローズちゃん、まっつちゃん、棟梁andえままみやで、まずはカラオケ・・・屋さんで、腹ごしらえ(笑) ひたすら喋って、16:00頃、ZEPPのある南港方面へ。

コスモスクエアの駅に降り立つと、なんかZEPPと同じエリアらへんで結婚式をしていたカップルがあるらしく、案内の張り紙が出ていた。腐れ脳は、ロビエマの結婚式だと言い張る。
会場までの短い道程は、フェンスの向こうにお花がいっぱい咲いてて、まるで私の脳内のようだった。

・・・いざ、会場へ。
まず目に入ったのは、物販の長蛇の列・・・。時間は16:30過ぎ、ご当地デザインの欲望Tシャツは、列を見て早々に諦めた根性なし。(この時点まで、2000人程度という人数をナメていたえまま)
開場前の販売はやはり列途中で打ち切りってことで、蘇るメカラ15の悪夢(苦笑)

会場の外では、物販列以外にも、すでに沢山の人が詰め掛けていて、思いがけない人に会って抱擁したり、握手したりという、お馴染みの光景に、ふとノスタルジーが掻き立てられた。

会場入りは、やはり混雑と行列との戦い。整理番号順、10人ずつ単位のコールに、あまり整理番号のよくなかったえままみやはジリジリと照りつける西日と横を流れる川からの照り返しに耐えた。(ちなみに一緒にいたよしやんは、はぐれてしまった棟梁を必死に探していた)

OPEN。

ワンドリンクなので、ペットボトルのウーロン茶を買って、いつものホールの雰囲気とは違う、フラットな空間へ。ただし、そこは既に人の山。気合で、なんとか前のほうに潜り込む。
今回のライブは、かねてより他地域での話にも聞いていたが、男性客がかなり多かった。半々とはいかないまでも、比率はイエローモンキーの時のライブとは大違い。「こ、これは・・・」と思ったとおり、前方にも男性が沢山いたので、一旦、見えないことを覚悟した。
そのとき、隣に立っていた女性から声をかけられた。なんとそれは、ウチのお客様!途方も無い混雑の中、初対面にも関わらず、しまりんごさんと奇跡の邂逅を果たす。
間もなく、スタッフによる注意事項。「具合が悪くなったら、スタッフに声をかけてください・・・判らない場合は手を上げてください」という説明に、「見えへんわ」「みんな手あげてるっちゅーねん」と会場のあちこちから総ツッコミ。最終的に困り果てて苦笑気味のスタッフさんを見て、さすがここは大阪だと思った。
それから間もなく、客電が落ちた瞬間、周囲がかなりフロントに向けて流れた。・・・チャンス!
一瞬、エマ側がかなり空いたので、その隙を狙って、まみやの手を引いて前方に突撃。もぐりこんで、最前とまではいかないが、かなりいい位置をキープ。公演前にトイレに行っとこうかな、なんて思わなくて、本当に良かった・・・。

オープニングは『20 GO』。
一瞬で会場が沸きかえった・・・と思ったが、ボルテージは曲が進み、吉井のアクションが熱を帯びていくごとに、更に高まっていく。今まで、豆粒大とかフィギュア大でしか見たことが無かった吉井を、初めて大きな姿で視覚にとらえることができた。黒の上下で、画面やフィギュア大で見るよりも、格段にカッコ良くて、惚れ直した。
そして・・・目の前には、エマがいた。人波に埋もれ、ボトムは見えなかったが、今日は黒のノースリーブ・シャツ。腕毛が見当たらないので、剃ったのだろうか・・・などといらないことを考える(笑)

『欲望』『TALI』『SIDE BY SIDE』と曲がすごい勢いで進行していった。次第にエマのアクションも大きくなり、bridgeのインタビューのとき、「単なるサポート以上の働きを要求されると思う」と言っていた彼の台詞が、ふと脳裏を過ぎった。エマ側にいた所為か、周囲はかなりエマファンが占めていて、やはり担うところが大きいのを感じずにはいられなかった。

ところで、ちょっと突っ込んでもいいでしょうか。

私の脳に花が咲いたのは、『WANTED AND SHEEP』が始まった瞬間だった。
あれはアルバムでも、もう一人のギタリスト、バーニーが弾いていた曲だったし、あの曲ではエマも裏方に徹していたという他地域の話も聞いていたので、腐れ脳基準での期待はしてなかったのだが、始まった瞬間、吉井とエマのピンスポット。出だしがかなり静かでしょ?その間、ずっと二人のピンスポ。ろくでもない思考回路が発動した。音的には、やはりあの曲ではオイシイところはバーニーが持っていってたが、ライティングなどの演出は、かなりエマをフューチャーしてたように思う。(それはWANTED AND SHEEPに限らず、全体的に言えることだが)。ファンに対する計らいだろうか、と思わずにはいられない。ギターソロの途中で、バーニーとエマを順番に吉井が煽ったが、エマへの煽りはやっぱり「エマちゃぁん!」だった。やっぱりいくつになっても吉井にとってエマは「エマちゃん」である。(・・・って、この曲で、だったと思うんだけど・・・ごめん、ちょっとうろ覚え)

25日は、MCは本当に少なかった。
その少ないMCで、吉井は「お世辞抜きに大好きな大阪に来られて嬉しい」と、まず言った。「こんな何も無いところまで、チケット代、電車代を使ってよく来てくれた」と言う吉井に、会場が沸く。いや、本当にZEPP OSAKA付近というのは何もなくて、海くらいしか無いのだ。つーか、アンタがよく来てくれたよ!と思う。

この日、吉井は既にツアー後半に入り、喉も疲れていたのか、所々掠れたような声もしていたが、それにも増して、楽曲に対して、昔以上に真摯な姿勢を見せていた。はっきり言って、あんなにきちんと歌う吉井は初めて見たような気がする(おいおい)。姿勢においても、そういう部分がとてもクリアで、年上の吉井に、しかも素人の私がこんなことを言ってはいけないが、なんだか「一皮剥けた」感があった。
とはいえ、奇妙な動き、妖しい踊りは健在である(笑)
そのへんは、やっぱりイエローモンキーで培われた、往年の彼のステージングらしくて、かなりほっとした。
変にストイックな人になっていたら嫌だな、と思っていたから。

そこを特に思ったのは、『MUDDY WATER』だ。
曲後半の「どれがオレの墓・・・」で、曲はそのまま途切れ、吉井の客いじりが入る。
どんなアーティストのライブでも、あの手の演出の時はそうだけど、客側に、「さあ、何を言う?」というような独特の緊張感が走って楽しい。
この日、吉井はそこで、おもむろに『SADE JOPLIN』の出だしをアカペラで歌い始めた。すぐに客席から手拍子が入る。そうすると吉井は歌うのをやめて「・・・速いよ。俺、何回もやってんじゃん」と客をいじり、再び歌いだす。(エマはその間ずっとニコニコしていた) 今度は少し速度を意識した、ちょっと不揃いな客の手拍子が響き、「あ、ちょっとイイ感じになってきたな」って思った瞬間、吉井は突然「ば!」と叫び、曲は再び『MUDDY WATER』に戻った。単純なえままは、既にあっさりと『SADE JOPLIN』モードになっていたので、目の前で、こう・・・「ぱちん」と夢から醒めたような気になって、覚醒の気分で再び踊り狂った。

メンバー紹介、この日は非常にあっさりしてて、なんと各人の名前のみ。
はっきり言って、ロビエマ的発言は一切無かった。がっくし。エマ側の、特に女性客から「それだけかよ」という軽いつっこみが印象的(笑)まあ、ステージまでは聞こえてなかったと思うけど。

が、絡みが一切無かったわけではない。・・・ごめん、どの曲でだったか忘れたけど(覚えてる人、また教えて。そしたら訂正するから)、吉井がニヤニヤしながらエマのほうに近づいて行った。エマもちょっと「来たな?来たな?」という顔をする。吉井はつ、とエマに寄り添って、エマの二の腕あたりを「ふよふよ」って感じで触った。エマがくすぐったそうに笑いながら吉井のその手を振り払って「やだやだ!やめて」って仕草をする。が、吉井はその反応が楽しかったのか、またエマをくすぐる。エマもまたこれが楽しそうに抗うんだ。口の動きを凝視してたら、ちょっと何か言ったみたいだけど、声は聞こえなかった。
あー・・・えっと、文体が崩れてきて申し訳ないが、ここは敢えて喋り口調でいかせてくれ。はっきり言って、ちょっと赤面したわ。なんつーか、SUCK OF LIFEとかでおもむろに絡まれるよりも、やたらいちゃついて見えてね。客に見せてるっていうより、二人の世界って感じで。あーあー・・・。
ありがとうございます。どんなに絡みが少なくても、何の萌え発言も無くても、あの一瞬の吉井とエマの仕草だけで、ご飯3杯・・・しかも1週間くらい食べられます。妄想は一粒300メートルどころか一粒で地球7周半くらいできました。

・・・・話を戻そう。

今回、このライブで、私は「イエローモンキーが何故解散しなければいけなかったのか」の意味を見た気がする。
それは吉井を含め、ステージでの全員の鬩ぎ合いに魅了されたからだ。

THE YELLOW MONKEYはとても仲の良いバンドで、しかも結成から休止までの間、4人で結束して走っていたから、その密接な関係が、ある意味、譲り合いのような雰囲気を、後期には持っていたような気がする。みんなに花を持たせたいというか、そうでなければならなかった空気があったように思える。だから吉井の闘志は、かなりのベクトルでオーディエンスに向けられていたのではないだろうか。だが、今回のこのソロ・ツアーが初となるバンドとの競演は、それぞれが鬩ぎ合い、吉井もエマも、他者に喰われまいとする鋭利な雰囲気が随所に見られた。それは吉井・エマ両者の間に於いても同じで、それこそが吉井の言う「俺とエマは既に違うステージ」というbridgeの解散インタビューの意味だったんだと思った。これはえままの主観なので、そうは思わない、という方も大勢おられるだろうが、あくまで私の感想なので大目に見ていただきたい。
ともかくも、エマのギター・ソロも、それほどまでに冴え渡っていた。

あっという間にステージは、本編ラストの『FINAL COUNT DOWN』まで突っ走った。
時間が経った感覚が殆ど無い。
メンバーが一旦ステージから去り、すぐにアンコールの手拍子が起こる。
暫く後、ステージに彼らが戻り始めた頃、客席から「ヨ・シ・イ ヨ・シ・イ」というコールが起こり、瞬時にそれは会場全体に広がった。苦笑気味にステージに現れる吉井。明らかにわざとらしい憮然とした顔でマイクスタンドの前に立つと、「・・・俺は吉田です。」とボケる。恐らく、彼はその場で会場がドッと沸き、それで終わると思っていたんだろう。が、ボケた直後、後ろを向いて吉井が水を飲んでる間に、「ヨ・シ・イ」コールは「ヨ・シ・ダ ヨ・シ・ダ」に変わり、吉井は水を含んだまま、大きく仰け反った。再びマイクの前に立った吉井は「関西人だから許されるんだよ、それって」とちょっと拗ねたような口調。客席はしてやったりとばかりに喜んだ。さすが関西人の集団である。

「スティルアライブ」は、『TALI』のカップリングのときは吉井の弾き語りだったが、ステージでは勿論バンドバージョンで。想像以上のパワーアップに、オーディエンスは聞き入っていた。演奏が激しくなっていっても、ひたすらに聞き入っていた印象が、とても強い。

吉井は、「来年はちょっと長いツアーをやろうと思う」と発言した。精力的に活動することを宣言する吉井の姿は、とても凛々しかった。『トブヨウニ』の歌詞をすこしいじって、「LOVE ME?こんなに狭い感じじゃなくて 城ホール行こうよ(※大阪城ホールの意)」と、吉井は歌った。本当にそれが実現するかどうかは判らないけれど、そういうふうに言ってしまえるのは素敵だと思う。少しでも「ちょっと前までドームとか一杯にしてた」っていう悪い意味でのプライドが邪魔してたら、ああいうことは、言えても歌えない。

吉井に促されて、センターでソロを張るエマのステージングも美しかった。(そのとき吉井は、エマの立ち位置で、弾き真似をしていた) 次のツアーでも、エマの姿が吉井の隣にあるといいと思う。彼らは、やはり一緒にいてパワーアップする気がした。ロビエマとか、そういうことを抜きにしてもそう思えた。

そしていつか、THE YELLOW MONKEYの4人で、ああいう、鬩ぎ合いのステージを見せてくれる日が来たら、とても嬉しい。今は自分のバンドや、他の人のバックで演奏しているヒーセやアニーも、個々や、二人一緒の活動の中で、ああいう鬩ぎ合いを重ねて、・・・叶うなら、THE YELLOW MONKEYという大看板を、もう苦しむことなく背負ってくれる日が来たら・・・。

そう思えて、仕方ない。

賛否両論あろうが、今回、私はとてもいいステージだと思った。
とてもいいライブだと思った。




※追記※
それにしても、やっぱりエマの前のマイクが何の為にあるのか、相変わらず判らない(爆笑)



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