吉井和哉
TOUR 2006 〜MY FOOLISH HEART〜


2006.1.28 ZEPP NAGOYA

report:えまま

SET LIST
01 TALI 12 BLACK COCK'S HORSE
02 CALL ME 13 FOR ME NOW
03 SIDE BY SIDE 14 SWEET CANDY RAIN
04 SADE JOPLIN 15 PHOENIX
05 HATE 16 FINAL COUNTDOWN
06 FALLIN' FALLIN' 17 WHAT TIME
07 BLOWN UP CHILDREN 18 BEAUTIFUL
08 20 GO -encore-
09 欲望 en1 HIKARETA
10 RAINBOW en2 MY FOOLISH HEART
11 MUDDY WATER SET LIST協力:けり様


1/28はとても寒い日だった。
朝から雪が舞い、「これは・・・入場前、ヤバいかも」と不安になりながらも、相変わらずの薄着で名古屋へ。
久々の公式オフで散々笑ってからZEPP NAGOYAに向かう。
周りの皆様は「寒い」と嘆いてらしたが、私は元々寒いところから来ているので、意外とあったかいと感じ、さっさと外ロッカーにコートと荷物を預けた。

18:00
OPEN

雪崩を打ったように会場に流れる人波。前回の徹を踏み、ライブ前にはドリンクは受け取らない。夏の盛りでも首から提げてて腹が冷えたのだ。こんな冬場にやったら確実に腹を壊す・・・・。と、それが功を奏した。
整理番号は悪かったのだが、まだ余裕の会場内で、確実にエマ前へ。がっつり2列目。
前よりも更に近づいたステージに、こっそり(実は大っぴらに)ガッツポーズ!
ただ、ライブハウスは開演前、ずーっと立ってなきゃいけないというリスクがある。まみやは早くもバテ気味(笑)。だが、普段、「疲れた」「足痛い」を、二言目には発してまみやに迷惑をかけるえままは、そんなこと一言も言わない。普段の根性のなさと、腹黒いほどの現金さを如何なく発揮する(笑)
結構退屈なのがこの時間・・・。と、思いきや、近くにいた知らない人と話が弾んだ。
流石、その場にいるのはファンばかり。目が合っただけでも仲良くなれる、ライブ会場というのは本当に素晴らしいところだ。

ひとしきり盛り上がった頃、いよいよ客電が落ちた。
ものすごい歓声の中、ツアーメンバーに続き、吉井登場。
オープニングは『TALI』。
この日は「疑ったり、争ったり・・・」の部分の「たり」を客に歌わせるという趣向だった。

始まったばかりの印象を、一言で表現してみよう。

「すごい」。

何が凄いって、吉井和哉だ。
髪も伸びて、ルックスの雰囲気はイエローモンキー時代を彷彿とさせる。ソロ活動開始以降、「ダイエット以外でルックスに気遣うのをやめたのか、この男は」と、内心歯痒く思っていたのが、さっぱりと解消されてしまうかっこよさに、まずは惚れ惚れとした。この日は、白いデニムパンツにアイボリーとベージュの中間くらいのシャツを着て、その上に黒のジャケット、白いスニーカーというスタイル。
いや、だが。
ルックスだけではない。
何よりも特筆すべきは、吉井の「歌」だ。
ここは敢えて、「声」とも「ヴォーカル」とも表現しない。
「歌」が、去年のツアーに比べて格段に上手くなっていた。
いや、去年も昔に比べて上手くなったと思った。だけど、このたびの変化は見事だった。
そう、「声」ではなく「歌」。
吉井和哉は、「歌」を届けてくれた。
それはやっぱり、ソロツアーも二度目の所為か、前回に見られた緊迫感が薄れ、全体に纏う余裕のようなものを感じることも影響していたのかもしれない。

エマは、その隣で、今回も期待通り弾いていた。
白のデニムパンツと、浅いVネックのアイボリーとベージュの中間くらいの色合いのニットを着て。
―――――・・・ん?
なんだかどこかで見たような色合い。
一瞬気になるものの、そのときは彼のギタープレイに魂を奪われていた。

曲はどんどん進んでく。
『CALL ME』『SIDE BY SIDE』・・・。

そして、そのときが来た。

前回のセットリストにはなかった、『SADE JOPLIN』
私はこの曲が好きで、アルバムに入ってる、曲終盤の切ない吉井の高音域(at the BLACK HOLEの特典DVDで、吉井が「これじゃオカマだよ」と言ってたアレ)と、狂ったようなギターソロが、どのようにステージで再現されるのかと胸を轟かせた。
ステージでは、吉井の高音域は披露されなかった・・・が。

エマが豹変した。

テクもさることながら、ラストのソロ部分、エマの鬼気迫るほどの陶酔したプレイ。
エマの陶酔といえば、イエローモンキー時代からおなじみではあったが、これまでのエマのそれは、『テク酔い』『雰囲気酔い』の印象があったように私は思う。前回のツアーもまだ、そんな感じだった。違うという方もいらっしゃろうが、ここは単なる私の印象なので、大目に見ていただきたい。
だけど、『SADE JOPLIN』に於いてのエマのプレイは、むしろその1曲に対する心酔のように見えた。
あの曲の構成上、ソロ部分自体、狂ったような音調の気迫を感じるものだが、はっきり言って、吉井が弾いたというアルバムのものとは桁違いである。ステージ用にアレンジしたとはいえ。
はっきり言おう、私はこの曲だけでも、このライブに来た価値があったと思う。
それほどに素晴らしかったのだ。
普段、彼を「私にとっては素材よ〜♪」などと言い放ってる私だったが、これは撤回しようと思った。
衒いなく、「良いギタリスト」だと断言できる。

元々、他のサポメンの方々は、過去の活動を詳しく知らないし、今と過去を比べることができないので、どうしても吉井とエマのことだけに偏ってしまうが、2人はまた、何かの壁を超えたように見えた。これは、間違いなく。

いや、アレだ。
私が言ってるのは、音楽のことだ。
本当だ。

だが・・・。



もう一個・・・なんかを超えたような気がする・・・。



どの曲でだったか忘れたけど、吉井が着ていたジャケットを脱いだ。
前述の衣装から、黒ジャケットをオフした状態だ。

途端、さっき知り合ったばかりの子と、視線を交わした。

「・・・ペアルック?」

ごめんね、吉井、エマ。あと他のメンバーの皆さん。
ライブ中に私語しちゃった。

だけど、アレは・・・。ペアルックだ。トップスが違うとはいえ、あれはペアだ。
慌てて他のメンバーを見る。ネギさんもバーニーも白基調の似たような色合いでは、ある。なーんだ、みんなで揃えたのか。・・・いや、でも、だったらシータカさんと柴田さんはどうなるんだ。違うじゃないか。
っていうか、ネギさんとバーニーも白基調とはいえ、あんなに同じ色じゃない。

やっぱり・・・ペアルックか?
いや、それがもう、2人揃って後ろ向いたら、まるっきり同じ色で笑える。
某氏の言葉を借りるならば、「21世紀に口にするとは思わなかった言葉・・・ペアルック」である。7/1のNKホールに続いての。

だが、残念なことに、この日の公演では、ラブラブ行為は特に無かった。
他ジャンルさんに羨ましがられてやまないラブラブ伝説を誇る2人の、しかもイエローモンキー時代から数々のラブラブ伝説を生んできた名古屋で、MCでも全然エマ弄りのないライブを引き当てるとは・・・。ぐすん。

でも、それでも私は怯まない。
なんか見つけたいと思って、目を皿のようにしてステージを凝視していた。

曲の途中で、吉井がエマにアイコンタクトを送る。2人の視線が合った。
そのとき、吉井がもんのすごく優しい、蕩けそうな甘い顔で、エマに微笑んだ。
――――・・・いや、もうそれで充分です。ごちそうさまでした(笑)
ほんと、それだけで満足してしまうほどの甘い顔だった。

あとは、エマがバーニーやネギさんやシータカさんと仲良く視線を合わせながら演奏しているのを、ステージから真後ろ向いて、ぼけっと見ていた吉井が印象的でした。・・・嫉妬?(考えすぎ)

前回はメンバー紹介曲に使われた『MUDDY WATER』は、今回はライブ中盤で登場。
「どれが俺の墓・・・」で、もうおなじみになった、演奏切れ。吉井が客をいじる。
ステージ中央を差して、「ここか?ここが俺の墓場か?」「ここだな、ここでいいんだな?」と念を押す。エマ前を陣取っているロビエマ派が、「いや、そこじゃない。もうちょっと左」と小さく突っ込んでいたのは言うまでもない(笑)
だが残念ながら、吉井はセンターで「場!」を叫んだ。・・・違うってば。もうちょっと左だってば。汲み取ろうよ、会場の意思を。(違)

この日もMCは少なめ。
っていうか、殆ど無い。吉井は「前回の反省を踏まえて、今回はあんまり喋らない」と言った途端、会場からは大ブーイング。聞きたいのだ、MCを。聞きたいのだ、エマ弄りを。
でも「その代わり、曲を沢山やる」と言われてしまっては仕方ない。納得してやろうと思った。(でもそれでもちょこちょこと「えー?」が(笑)・・・無理も無い・笑)
ただ、その少ないMCには、このツアーが終わったら、アルバムのレコーディングに入り、秋にはまたツアー、夏にはフェスに出るという嬉しい報告もあった。(どこまでが本当かは判らない。つくづくファンに発言を信用されない男だな、吉井・笑)
願うはたった一つだ。
お願いだから、次もエマは連れてってくれ。頼む!今回のエマのプレイで、邪心なくもっと彼のステージが見たくなったのだ、私は。
(勿論、邪心も沢山あるが)

そして、ライブは終盤。
念願叶って『BEAUTIFUL』。
大好きな新曲をナマで聴けて感激。エマの黒のレスポールも拝めた。嬉しい!

アンコールは、新曲のカップリングを曲順のまま。
衣装替えしてくるかと思ったけど、そのままでした。だんだん広がっていく、吉井の背中の汗の染み。
電車の中で夏場の彼と同世代の男性が同じ状態になっていたら、単純に「うわ」なのに、吉井だと思うと汗の染みさえもセクシーに見えてしまうのは、やはりファンの欲目だろうか。いや、やっぱり彼がかっこいいのだ。それだけ。
(すんません、一生言ってます)。

ラストの『MY FOOLISH HEART』では、エマがアコギを弾いていた。珍しい。
吉井が『BEAUTIFUL』で弾いたのと同じギターに見えるんだけど、どうなんだろう?
この曲に関しては、私は実はあっためてるプロットがあるので、それが脳内ぐるぐるして・・・。(返す返すもすんません)。
でも、発売されて間が無かったし、どっちかっていうとCDよりオフィシャルサイトのトップで流れてるイントロのイメージが強いので、どうも聞くとクリックしたくなる(笑)


1/28を1本見て、前のツアーとの印象の比較としては、(良い意味で)安心して見ていられるライブ、という感じだった。
前述の通り、やはり吉井の歌と、あとバンドもキーボードが入ったこともあり、とても音が深くなっていて、ヴォーカルも演奏も安定していて、聴いていて心地よい。
更に、イエローモンキー時代からのファンとしては嬉しいことに、エマがメインを弾く曲が増えていた。
こうやって、2人がそれぞれ、自分に対する課題をクリアしていってくれたら、これ以上に嬉しいことは無いと思う。

まだまだツアーは続く。
最終日の大阪城ホールで、彼らがどんなステージを見せてくれるのか、心から期待している。



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