酔い


こういうのは、困る。

ワガママに振り回されて、つれない態度に溜息ついて。
傍目にも気の毒であろうほど、尽くして尽くして尽くしまくる。
そういうのは、もう慣れた。
マゾと言われようが、不毛中の不毛と言われようが、全然苦にならない。

大卒新入社員の一般初任給を遥かに上回る、毎月のカード利用明細が示す貢ぎ額も平気。
迎えに来いとか今日はヤダとか、好きなように扱われるのも平気。
鬱陶しいとか、くっつくなとか言われるのは、かなり凹むけど、まあ、耐えられる。

でも、こういうのは困る。


「吉井〜〜、好き好き〜
vvv


酔いに任せて人目も気にせず、素面だったら絶対見せない媚を臆面もなく晒して、俺にくっついて離れなく、

「吉井は?俺のこと好き?」

そんなコトを声を落とすこともなく聞いて、

「好きだよ」

って答えたら、

「俺も愛してる〜」

なんて。

そういうのは、ホント、困る。


50名を越すスタッフを交えたライブの打ち上げの席。
珍しいものを見て注目してる大勢の中で。

「あいしてるっ!」

とか言って。

ほっぺたに、『ちゅっ』とかしてくる・・・
そんな、二人っきりのときの態度をそのまま素直に公衆の面前に晒すエマに、俺は本当に困る。


嬉しすぎて、困る。



end




バカや〜!バカバカや〜!バカップルめ。一生やっててください(笑)

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