前略 |
前略、お義兄様。 がんばれ。 菊地英二 吉井のソロツアーが始まって、うちの兄ちゃんがそれにくっついて行ってしまって。 当然ながら、俺はやっかんで拗ねてる----と、一部のお姉さんたちには思われがちだが。 ここにきて、心境の変化が起こっていた。 兄貴は全然・・・ぜんっぜん連絡をくれないし、電話してもずっと出ない。 実家にもいないし、携帯もよく切ってるし・・・動静がさ、気になるじゃない。 事務所でちらっと聞いても、なんか誤魔化されるし。 もう、あのバカ二人のことだから、絶対何かやましいんだって思うでしょ、普通。 仕方ないから、ロビンのサイトをチェックした。写真くらいあるかもしれないしさ。 そしたら・・・なんだって? ベ、ベ、ベースの根岸さんの、好みのタイプが兄貴だと?それに・・・セセセ、セクハラまで働いていると!? おい、ロビン!んなこと平然とコラムに書いてる場合じゃないだろ!オマエがついてながら、何てザマだよ。 しかも兄貴の写真は無いし。・・・仕方ないから、ロビンのファンクラブに入った。だってだってだって、FC会員なら、バックステージの写真も見れるっていうし! モヤモヤしてるうちに、ツアーが始まった。 今度は絡んでないらしい。当たり前だ。 ・・・が、気になる。根岸さんが、兄貴にどんなセクハラを働いてんのかと思うと、夜も眠れない。 ある日、ロビンのサイトのバックステージのコメントに、とんでもないものが上がった。 『酔っ払った根岸さんが、このあとエマに、、、』 エマに・・・エマに? 兄貴になんだよ!俺の兄貴に何しやがった、根岸〜〜〜っ! 俺は恥ずかしいのも我慢して、事務所にライブのチケットを回してもらった。 軽く変装して紛れ込んで、ステージを見た。 日を追うごとに、だんだんと兄貴に絡んでいくロビン。 最初は「おいおい、まだそれをやるか」と、腹も立った。 けど。 でも。 ああ・・・俺、初めて見たかもしんない。 ロビンに絡まれてる兄貴の表情。 今まで、後ろからしか見たことないもんな。ビデオはつい、そこだけ早送りしちゃってたし。 あんなに楽しそうな、嬉しそうな顔で絡まれてたんだ・・・。 なんつーか・・・普段よりキレイ。 最近は綺麗とかってより、カッコイイ感じなんだけど、絡まれてるときは・・・あんな可愛い顔してんのね。 そう思うと・・・お似合いなのかもなぁ、あの二人って。 もしも、だ。 仮に、兄貴に絡んでるのが根岸さんだったら・・・と思うと、腸が一瞬煮えた。 許さん、そんなのは。 俺でさえ振られたのにっ!(この際、血縁関係は忘れてくれ) 吉井が絡んでるのが、兄貴以外のギタリストだったら・・・と思うと・・・まあ、別にいいじゃん、とは思うけど、・・・思うけど、なんか違和感を感じずにはいられない。 やっぱりなぁ。 他の誰かにとられるくらいなら。 兄貴がちょっとでも寂しい顔をするくらいなら。 ある日、吉井が「俺の右側には、やっぱりこのヒトしかいません!」と兄貴を紹介した。 そうだそうだ! ある日、吉井が兄貴のほっぺにキスをした。 そして、遂にツアー終盤の東京公演。吉井は兄貴を紹介するときに、 「僕たち、ミュージシャンとして結婚しました」 と言った。 さすがに一瞬唖然としたものの・・・。 不思議なことに。 「よく言った!」 とも思った。 誰かに取られるくらいなら、やっぱり引き離せない絆を持った、お前が嫁に貰ってくれ。 終演後、こっそりロビンにメールを送った。 前略、お義兄様。 がんばれ。 菊地英二 end |
ネギの存在には、アニーも動揺しているといい。 兄貴不在の寂しさのあまり、強烈なロビエマ派になってたら面白いのに(笑) |