●法話「ケガをした犬」

拾ったゴミをもってくる「もも子」

 私は、朝夕犬を連れて近くの土手を散歩するのを日課としています。

 そこは、大変景色の良いところですが、残念なことには河原や土手には缶、ビン、ビニール、プラスチック類、はては紙おむつまでもが捨てられていたのです。

 それで、少しでもきれいにしたいと思い、ゴミを拾いながらの散歩となったのです。

 そんなある日、川から流れてきたゴミを、竿の先に引っ掛けて取ろうとしたのですが、誤って足を滑らせ、川に落ちてしまいました。

 その時、何を思ったのか、連れていた犬が川に飛び込み、その流れて来たゴミを口にくわえて持って来たのです。

 それ以来、私と犬の二人三脚のゴミ拾いが始まったのです。  ところがある日、いつものように犬が川から流れてくるゴミを見つけ、拾おうと土手を駆け下りた時のことでした。  突然、犬が「キャーン」といってうずくまってしまったのです。  駆け寄ってみると、足の裏から血がボタボタとたれ、そばには鋭利に割れたガラス瓶がころがっていました。  犬は、痛さとショックの為か動けず、私は犬を背負って帰り、病院に駆けつけたのでした。

 犬のケガは、足の裏の組織の一部が欠損したのでした。  幸いにもケガは一ヶ月ほどで治り、またゴミ拾いが出来るようになったのでした。

 誰かが何気なく捨てたガラス瓶なのでしょう。  そのガラス瓶が、犬をケガさせたとは捨てた本人は知るよしもないでしょう。

 しかしながら、その心ない行為が残念な結果を招いたのです。

 ゴミのポイ捨ては勿論のことですが、私たちは普段生活する中で、何気ない行為や、ちょっとした言葉使いで、周りの人たちに迷惑をかけたり、いやな思いをさせることもあります。
 反対に、ちょっとした思いやりで、お互いにあたたかい気持ちで暮らせることも出来るのです。

 今一度、自分の行い、自分の言葉を振り返ってみたいものです。



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