二月末に当寺の檀信徒の方々と福井県にある曹洞宗大本山永平寺に参拝に行ってまいりました。 永平寺では、二月中頃から三月末にかけて、全国から百名以上の雲水さんが修行にやって来るのです。その日も、山門前には数名の雲水さんが、雪が降りしきる中、立たされておりました。その姿を見て、私は二十数年前の自分を思い出しました。 永平寺での修行で一番戸惑ったのは返事で、「はい」か「いいえ」しか認められないのです。「これをやるように!」と指示されても、「やったことがありません」と答えるや否や、「言い訳をするな!」と怒られるのです。 修行に行く前は、いかに言い訳の生活をしていたのかと思い知らされたのでした。 家庭や仕事場でも、やらなければならないことがあっても、「今日は忙しいから」とか、「疲れたから」と言い訳をし、延ばし延ばししていたのでした。 曹洞宗を開かれた道元禅師様は、「道を求めようとする者は、明日からとか思ってはならない。今という今を取り逃さずに、直ぐに行うべきである」と申されております。 これは、ある人が、今は病気がちであるので、治ってから仏道修行しますと常々言っていたのでしたが、結局、仏道修行が出来ないまま亡くなってしまった方の例を引き出して、諭されたお言葉であります。 今やらないでいつやるのか、時は待っていてはくれないのです。お互いに、言い訳のない日暮を心掛けたいものであります。 「そのうち」 そのうち お金がたまったら そのうち 家でも建てたら そのうち 子どもが手をはなれたら そのうち 仕事が落ち着いたら そのうち 時間のゆとりができたら そのうち・・・・・・・・ そのうち・・・・・・・・ そのうち・・・・・・・・と、 できない理由を くりかえしているうちに 結局は何もやらなかった 空しい人生の幕がおりて 頭の上に 淋しい墓標が立つ そのうちそのうち 日が暮れる いまきたこの道 かえれない (相田みつを)
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