一つのフィールドの中にいくつもの紋章を組み合わせることをマーシャリングという。これにはいくつかの方法があるが時代が下ってくると大体、Impalement、Quarteringといった方法が使われることが多くなった。ここでは夫婦の場合を少し取り上げてみたい。
ImpalementはフィールドをPar Pale二分割し、デキスター、シニスターそれぞれに別々の紋章を入れるやり方である。この時、基本的にもとの紋章は分割されず、少し縦長になるがそのままの形で使われる。元の紋章を半分に切ってあわせるやり方(Dimidiation)もないではないが、元々の形を損ない、見分けがつかなくなることもあるので、現在ではすたれている。イムペイルメントの場合、デキスターの方に上位の紋章が入る。夫婦の紋章の場合、デキスターに夫の紋章がシニスターには妻の紋章が入る。
夫婦同権の世の中で、とお怒りになる方もいるかもしれないがこれは伝統のなせるわざなので文句を言っても始まらないし、それを言い出すと紋章自体が否定される恐れがあるのでここではこれ以上深入りしない。例外として女王夫妻の場合はデキスターに女王の紋章が入り、夫君の紋章はシニスターに回るという事を付け加えておく。ただ歴代の女王がこのような紋章を公式の場で実際に用いたことは皆無のようである。
夫(H家) | 妻(W家) | 夫婦(H家) | ||
+ | = |
次にHさんの息子が女子相続人と結婚したらどうなるかという問題が生じる。イムペイルメントを使っても全然構わないのだがここではクォータリングを紹介したい。クォータリングとは、クォータリーをして分割されたそれぞれのフィールドの別々の紋章を組み込む事をいう。
夫(H家) | 新妻(F家) | 夫婦(H家) | ||
+ | = |
クォータリングを使うと上のようになる。ただクォータリングは必ず偶数のなってしまうので、 四番目のところにはH家本来の紋章を入れ帳尻を合わせる。このようなことが繰り返されると フィールドは際限なく分割される。実際に200以上に分割された紋章というのも存在するが普通はそうなる前に 大したことのない紋章から順次届け出て消していく。理由は、あまり細かく分割されるとその紋章の 系譜がわかりにくくなるなどの弊害が大きくなるからである。
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