アイスランドには自由国時代、全島を統べる統治者というのは存在しなかったが、ゴジと呼ばれる地方有力者の地位は存在した。地方有力者たる彼らの権限は世俗、宗教の世界に渡っていた。
宗教的には、キリスト教伝来前は祭司的地位にあり、犠牲を奉げ儀式を挙行していたようである。キリスト教伝来後も教会を建設し、それに付属する十分の一税を得るなどしていたらしい。
一方世俗的権力の方であるが、これは大きかったらしい。酪農が主産業で、それ以外何も無いアイスランドでは交易は必須である。しかし交易するには船が必要であり、船を作る木さえもアイスランドには無い。したがって船を作れるのは木材を輸入できるゴジのような有力者だけであった。また警察機構が存在しないアイスランドでは、有力者による安全保障は必須である。この様に有力者たるゴジの協力、庇護が必要な環境の下で、彼らの権力が増大するのはある意味当然である。
権力があれば義務もある。彼らの義務はシングマーズルの保護とアルシングへの出席である。シングマーズルはゴジに保護される自由民のことである。彼らはシング税をゴジに支払っていた。シングマーズルには年一回に限り、従うゴジの変更が認められていた。
アルシングへは、アルシング開会日の日没までに到着することが求められていた。判事の決定に関わるためである。この出席にあたってゴジは従うシングマーズル九名につき一名の同行を求めることができた。彼らの路銀はゴジ負担であり、それはシング税によって賄われていた。
ちなみにゴジの権力は従うシングマーズルの数によって左右されており、配下のシングマーズルは多ければ多いほど良かったゴジとシングマーズルの関係は流動的であったので、有力なゴジの下にシングマーズルが集まる傾向があり、有力なものはますます有力になっていったらしい。
このゴジの地位は一般に相続されたが、れっきとした財産であり、売買などの処分も可能であった。また、地域情勢安定のため一度取得したら三年間はその地位に留まらなければならないとされていた。
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