REALITY SPECIAL EVENT
9月9日夜8時-乃木坂SONYMUSIC ライブテリア
乃木坂のSONYMUSIC、ライブテリアに詰めかけたファンが長い列を作って開場を待ちました。
回線のチェックのため20分押しで開場。
取材か、主催者記録かカメラやビデオも回っていました。
お知り合いの方の顔がちらほら。
26年来、bowieがきっかけで知り合った親友2人とこの時間を共有出来る幸運を噛みしめながら会場に入りました。
壇上にスクリーンがあり、主催者の簡単な説明のあと上映が開始されました。
(このライブコンサート自体は時差の関係で録画ですが、間に挟まれた質疑応答はbowie自身がライブで出演)
以下セットリストです。

(Warm upこの3曲は非放映)
A new Career in a new town
A bit of Song 2
A bit of Rumble

(Whole of Reality albumアルバムを曲順に)
New Killer Star
Pablo Picasso
Never Get Old
The Loneliest Guy
Looking for Water
She'll Drive the Big Car
Days
Fall Dog Bombs The Moon
Try Some, Buy Some
Reality
Bring Me The Disco King

Q n A

(Extras. First 3 songs voted by you
最初の3曲はファンの投票で選出)
Hallo Spaceboy
Fantastic Voyage
Hang On To Yourself
Cactus
Afraid
Modern Love
New Killer Star


ステージは非常に意欲的に始まり、バンドも上々な仕上がりぶりに見えました。冒頭のシングルカット曲はライブで歌われると緩急自在な感じが活きてとても聴き応えあり。
フラメンコギター的曲想のギターを挿入したカバー曲も力に充ちた感じ。客席の手応えを感じるかのように、bowie自身も上機嫌な気がしました。

我々はスクリーンで見ているのですが、曲が終わるたびにそこここから、拍手が聞こえて会場の雰囲気は微笑ましい感じ。
ビッテルのCM曲は思ってたのとちょっと違う感じ、美しい曲想。
繰り返し部分(つまりCMで流れている部分) を歌うbowieはとてもエモーショナル。そういえば、曲間にどんどん水を飲んでいたんですがあれは、ビッテルだったんでしょうか????
讃歌のように静かな、しかしとても力強い歌。The Loneliest Guy 。
今回のライブで感じたのは全体にとても力強いという感じです。確信的と言い換えても良いかも。
Looking For Water もShe'll Drive The Big Carも、今回の曲は舞台映えがするというか、サビが絶好調というか、音も、声も本当にいい感じでした。
Daysはシンプルで美しい曲。こういう端正な曲がHEATHENとこのREALITYの2枚には増えている感じがします。

この辺りからちょっとひきこまれすぎて一曲一曲をちゃんと記憶できていないのですが、Tery Some, Buy Some の愛しさとそれから、タイトル曲のREALITYを聴きながら、やはりbowieってROCKの人だなあと思ったのは憶えています。個人的にREALITYはとても気に入りました。
アルバムのラストの曲Bring Me The Disco king はとてもJazzyな曲。マイク・ガーソンさん一生付いていきます・・。重さといい、端正さといい。

CDになってからアルバム曲を曲順に通して聴く習慣が崩れたと言いますが、このアルバムは昔のLPレコードのように全曲通しで聴く魅力を持っているなあと思います。LP時代のファンは憶えているかも知れません、あのA面からB面にひっくり返すのがもどかしい感じ。きっとこのアルバムがビニールだったらひっくり返すのがもどかしいタイプじゃないかな。(逆にどっちかを乗せっぱなし、と言うアルバムもありましたね)

ここで、ライブ中継の質疑応答。オーストラリア-香港-シンガポール-東京の順。質疑応答の内容は後にSONYのサイトにアップの予定だとか。
シンガポールが回線不調で繋がらなかったのですが、用意された質問を真面目に答えていました。「可能だったら人生のどのピリオドをもう一度過ごしたいか。」「2000年から2003年を1967年に過ごしたい。」「曲が書けるような質問だね。」という応答でした。
次は東京、というアナウンサーの声に会場は緊張と興奮、そして、bowieの方もその瞬間にちょっと面持ちが変わりました。(多分気のせいではないです)。
ちょっとした緊張というか心構えしている顔というか、親密な雰囲気も感じました。来日を今約束して欲しいという質問に確約の返事、それから、アルバムジャケットのイラストとデザイナーについての質問に
「現実感とグロテスクさその反対のように見えるマンガ的になってゆくキャラクター、自分でもよく解ってないかも」という感じのお答え。
漫画家のbelneとしては、bowieさんのマンガってどんな概念なものなの?ととても興味がわきました。マンガはファンタジーの象徴なのかな?
このへんSONYのサイトの「後ほど詳しく」を待ちたいところです。
会場の盛り上がり具合もbowieの耳に届くわけですが、狭い会場の聴衆は素晴らしい歓声で、bowie自身にもちょっと喜んで貰えた感じでしたよ。


まもなく、再びコンサートのスクリーニングが開始されました。
みんなが大好きなHallo Spaceboy、歌い上げが切実な Fantastic VoyageそしてZIGGYから Hang On To Yourself。なんだか久しぶりにアルバムアレンジなこの曲を歌うbowieを見たような気がします。歌い切りがとても情動を呼び覚まされる感じです。
レッツダンスから Modern Love 。この歌の持つ意味深さは20年を経て現代にもう一度語り掛けるだけの重みをもっているような気がします。
本当に楽しそうに前作HEATHENから2曲。
それから、もう一度New Killer Star 。重ねて聴くと、本当にライブ向きで圧力のある歌です。
曲が終わるとbowieは静かな充足感を漂わせながらさりげなく去って行きました。
続けて上映されたNew Killer Star のプロモを見て思ったんですが、何故か私は、レッツダンス(曲のほうね)と同じメッセージ性を感じました。
手法はTVCM的なイメージの羅列なんだけれど、ストーリー(けっこうコワイ)があって、曲と微妙なシンクロというところもレッツダンスな感じ。

83年ごろから、当然世界は現代の持つ複雑さを既に内包しながら非常に世界情勢そのものの緊張感が今よりはシンプルに漲っていたわけですが…
(ちょうど、落ちる寸前の東側体制の危うさがあり、旧体制のポーランドで長期ストがあり、そして世界のあちこちで地域紛争があり、米ソの核競争も激化していた時でした。)その中でレッツダンスの成功がもたらしたものは、ポップチューンサクセスなんてものでは、私にとっては少なくとも無かったです。
重い切実な生きてゆく存在としての肯定的な音楽を、あのツアーに触れた人々は確かに、あの時受け止めていたのでは無かったか?と・・。
もう一度現在のDAVID BOWIEが世界規模のツアーを回ろうとしている今日
そしてN.Y.をそして世界を暗雲が覆ったあの日から丁度2年が経過したこの世界で、今bowieの音を待てるのは、本当に私にとっては活路に違いはなく、私もまた、「Loneliest Guy」ではないけれど、幸運だと切実に思います。

久しぶりの長文駄文にお付き合い下さって有り難うございます。
他サイトにはきっともっとちゃんとしたレポートらしいレポートが載る事と思います。

DAVID BOWIEと素晴らしい彼のファンにあるたけの敬意を込めて。
-belne-

写真とセットリストが9月9日付けのbowienetフリーニュースにアップされています。