彫刻の森美術館に鋤田正義の展覧会「フラッシュバック」を観に行きました。
質も量も充実した、とても良い構成でした。
リクルートでのタイムトンネルを大規模にした感じで、写真美術館とはまた少し違ったアプローチに感じました。
全体は8室に分けられて、およそ7つのセクションあで構成されています。
彫刻の森美術館を写した写真を含む3枚の写真が「introduction 」。
その次に「David Bowie」の小展示室があります。
次に「Fashion 」
Jazz の広告写真などを中心に、ポール・スミス2013 そして若い寛斎等の肖像写真も。
70年代の実験的な新しさだけでなく美意識の高さを感じさせる、まさに歴史の1ページ。
鋤田さんの見た時代がそのまま写し取られているような、セクションです。

次には緑蔭ギャラリーの大きな空間を使って写真展のタイトルロール「Flash Back」のセクション。
2011年3月、鋤田さんはカメラを持って街に出られたと一昨年の写真展のコメントにあったと記憶しています。
リクルートのギャラリーで開催されたタイムトンネルシリーズの時にテーマとして撮っていると言われていた「乗り物」シリーズ。
そして街、2015年の撮り下ろしの彫刻の森美術館のスカルプチュア。
その対の面にはジョー・ストラマー、ストラングラーズ、シルヴィアン、レイ・チャールズ、ポリス、クインシー・ジョーンズ、エルビス・コステロ、そして通路を挟んで沢山の路上ミュージシャン達。
そして「Entertainment」のセクション。
沢田研二・YMOのアーティスティックな写真を始め、鋤田さんんと所縁深いアーティスト達。
シーナ&ロケッツ、土屋昌巳、 吉井和哉、吉川晃司、内田裕也。素顔の忌野清志郎。 イッギー・ポップ。
またジム・ジャームッシュ、是枝裕和監督作品の映画スチルや、小泉今日子、宮沢りえ等、俳優の肖像写真。
グループ魂と阿部サダヲ、伝説的なアイ・ジョージ。
リリー・フランキーのTOKYO MOOD PUNKSも鋤田さんのスタンスの幅広さを感じさせます。


そして特別な小部屋。「TERAYAMA/T.REX Entertinment Reprise」
寺山修司の映画、「書を捨てよ町へ出よう」からスチル。リングの上の寺山。ニューヨークのラ・ママでの寺山修司。そして、鋤田さんにとってのもう一つの特別な存在「T.REX」
そして最後のセクション、「Memory 1 Memory2 」
母を撮った、写真家鋤田正義黎明の一枚、数枚のセルフポートレイト。福岡の生家の近くなのでしょうか、ボタ山に遊ぶ子ら。
そして、原潜寄港に抗議する佐世保市民と、それを黒々と囲む機動隊。
そして幾十年前の横断幕に描かれたPEACEの文字。そしてあの…長崎の遺構。
美意識の貫かれた鋤田正義の原点。

「introduction」を除けば一番最初の展示ブースになる「BOWIE」のセクション。
入口と出口を挟んで5面の壁面に鋤田正義のBOWIEの記録が展示されています。
入って左側に2002年のチェックのマフラーを巻いて笑むBOWIE。ギターケースを持った89年、ヒーローズのジャケ写。手をかざす73年のセッション写真。80年の時計のセッションの横に80年のグリーンがかったBOWIE MANNEQUIN。そして89年の正面の顔。その横に黒い蜘蛛の巣の衣装を着るBOWIE。2004年の来日時のステージ、サックスを吹くTinmachineのライブ、Tinmachineのジャケ写の別写真。BOWIEが破顔している。
時計回りに奥の壁には78年のライブ写真が十字形に5枚。
出口を挟んで写真集「TIME DAVID BOWIE by Msayoshi Sukita」にも掲載されている2004年の来日時のライブの連続写真。
右の壁には1973年のあの有名な渋谷公会堂でのステージ写真。その横に1996年のアウトサイドツアーのシリアスな表情の歌写真が4枚。
その横の壁に「時間と空間 それを操り超越する マジカルな力を持つ男 言葉と音が飛翔してゆく」という讚が、日本語と英語とで綴られている。
時計回りに最後の壁。それはその小部屋に入ってすぐ右の壁に当たる。
83年来日時のイエロージャケットを着こなすBOWIE。78年のシンボルのような船員帽をかぶり白い衣装を着たステージ写真。その下は珍しい長いハチマキを締めたBOWIE。78年の特徴的なライティングの大きい写真の右に4枚のステージ写真。78年の蛇の鱗のような衣装の写真と96年のマイクスタンドを操る4枚の写真。ライブ写真を中心に、伝説的なスタジオ写真を配し、33枚の凝縮したBOWIEワールドが構築されていました。
場内は模写・撮影禁止なので、会場外と1Fのカフェで記念写真をぱちり。