「文学横浜の会」
文横だより
<10月号>平成23年10月5日
やっと秋らしくなって、紅葉の便りが行き交う季節となった。
しかし今年の秋は、すかっとした秋晴れも心から喜べない。
東北の震災地ではまだ多くの方が日常生活を取り戻せず、
原発事故によって放出された放射能によって生まれ育った土地にも帰れない人達もいる。
台風による豪雨で被災された方々は後始末に追われ、雨が降れば二次災害に脅えているだろう。
年初にあった霧島山(新燃岳) 噴火による降灰被害者はどうしているだろう。もう降灰はなくなったのだろうか。
そうした自然災害に晒された土地では、爽やかな秋空があり、綺麗な紅葉で野山は彩られるのに違いない。
それは都会で見る青空より爽やかで、野山は色彩に満ちた華麗な紅葉で埋め尽くされるだろう。
考えるまでもなく我々の祖先はこうした自然環境の中で生きてきたのだ。
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文横だより2011年10月号を送ります。
◆出席者
◆読書会テーマ
この作品の多面性を物語るように各位からさまざまな感想が述べられた。
「朗読者]においては「少年と成熟した女との愛」「文盲の女への愛の行為としての朗読」「ユダヤ人虐殺に関わる罪と罰」
3本の糸が変容しながら20年の物語として絡み合うから、色々な読み方ができる。そこがまた面白い。
「何故、ハンナは18年の刑期を終えて出所する前の夜に自殺したのか」
作者は冷ややかに「僕はハンナの横に座り老人のにおいを嗅いだ」と書いている。
老醜という現実。それは「ガソリンスタンドの女」のテーマでもある。
エロスを失った男女の愛の廃墟からの脱出。ハンナは死によって脱出したのだろう。
僕はこの作家は一貫して「エロス」を書き続けている作家だと思っている。
以上、山下記
◆次回
どちらも「青空文庫(インターネット図書館;http://www.aozora.gr.jp/)
に掲載されています。
◆その他
以上
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