「文学横浜の会」

 文横だより

<2月号>

過去の「文横だより」

平成24年2月6日


今年の冬は寒い!

先日、新聞に載っていた記事だが、日本の大手家電メーカーの今年度の収支見通しは一社を除いて大赤字だそうだ。
貿易収支も31年振りの赤字だと言う。

東北大震災やタイ大洪水被害の影響もあるのだろうが、日本の社会そのものが、今大きな変化を促されているようだ。

東京大学では4年後から秋入学制度の導入を検討し、大手企業の中には通年採用制度にするという。

かくして「ジャパン アズ ナンバーワン」と言われた時代は遙か遠くの事で、まさに時代は巡るだ。

そんな事を考えていると益々寒くなってきたが、人間、棲む場所と食べ物さえあれば別になんの心配もいらないのだ。
仲間がいて、自分に見合った生活ができれば、それでいいのだ。

               ★

文横だより2012年2月号を送ります。

◆出席者
 浅丘、遠藤、岡部、金田、河野、三宮、篠田、新開、佐藤、山下、熊坂/藤野
(熊坂さんは新しく会員になった方です)

◆読書会テーマ
 2月4日(土) 丸山健二作「夏の流れ」
 担当、佐藤

読書会は、連日の寒さが少し緩んだ感がする立春当日に11名の参加で行われた。

67年の芥川賞受賞作品であるが、再読された方も初読の方も色々であった。
設定の特殊性は、皆様が指摘された。

篠田さんが、丸山の自伝エッセイ「生者へ」(2000年発刊)を持参されたので、この題材は、高校時代の友人の父親が仙台刑務所の看守であった記憶をヒントに創作されたものであることが判明した。

文章は押さえが効いていて、会話の運びも上手いという意見が多かったが、不気味な暗さを感じた方や、読むに値しないという意見もあった。

説明が少ないのは、当時流行っていた実存主義的なものであろうという意見も複数あった。

中川を中心に描いたら、また違ったものになっていただろうという意見と佐々木の葛藤が書かれていないという意見。
結局深さが足りないということが、この小説の物足りなさに繋がるのではないかと言う意見に集約された。

67年の受賞から45年が経ち、丸山も現在68歳である。許容を認めず、独断やいい切りゆえに彼の個性を嫌う人も多いが、日日原稿用紙に向かい続ける彼の文学への執念の凄まじさに、圧倒されることもまた確かではないでしょうか。

    以上、佐藤記

◆次回
 次回は「文学横浜」42号の合評会となります。
 日時;3月4日(日) 13時〜17時
 場所;「幸ヶ谷集会所」(神奈川公園内)1階会議室
 ゲストは秋林哲也氏の予定です。

◆その他
 43号は2月末締切。(若干の枚数、追加掲載可能です)

(金田)


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