「文学横浜の会」

 文横だより

<5月号>

過去の「文横だより」

平成24年5月14日


今月5月21日に日本で太陽が環になって見える金環日食が見られると言う。

日食には金環日食と皆既日食、観る場所によっては部分日食もある。
日本本土から見られた日食では1987年9月23日に沖縄本島で金環日食がみられ、1963年7月21日には北海道の北東部で皆既日食が見られた。

今回は東京や大阪など太平洋側を中心とした広いエリアで金環日食が見えるそうで、これほど日本の広範囲で見られる日食は西暦1080年以来932年ぶりだと言う。

昨年の東北大震災が千年に一度の震災だと言われているが、今回の金環日食も千年に一度のコースをとると言うことだろうか。

金環日食と言う言葉などなかった千年前の先祖達は、突如太陽の光が遮られて薄暗くなり、さぞや恐怖に慄いた事だろう。

昔も今も、そして千年後も、人間は自然の営みを制御できない。
つまり人間は自然の中で生かされているのだ。

5月21日、晴れればいいな!

               ★

文横だより2012年5月号を送ります。

◆出席者
 遠藤、金田、三宮、新開、篠田、山下/藤野

◆読書会テーマ
 「半島酒店」森 瑤子著≪ホテル・ストーリー≫角川文庫 より
 5月12日(土)
   担当、三宮

 今回担当以外、皆さん全員男性諸氏の感想を要約します。
・女性というのは、こういうところがあるのかと思った。ある種の娼婦性が心の片隅にひっそり隠れているようだ。
 それにしても、阿里子への譲の態度は男として甘すぎる。こんな男がいるものかなあ。
・初めて読む作品。文学とは言えないライトノベルの感触。自分が愛する女が、高価な宝飾品と引き換えに身を売ろうとするのを引き留める男の言葉が「自分には翡翠のイアリングは買えないが、窓の外の、この香港の夜景をプレゼントする」。こんなことを言うか?
 あえていいところを探せば、バブリーな1980年代、都会の働く女のひとつのタイプを描いたことだろう。
・まるで興味も関心も持てない、他愛ない話。女主人公が、裕福な暮らしのハイソな作者自身とだぶる。
・女は怖い。おしゃれなショートストーリー。
・どんな切り口で読めばいいものか・・・。ま、ともかく、読ませる作品です。

 私がこの作品をテキストに押した理由は、ただ、森瑤子さんが好きだから。短編で、印象に残った作品だから。
香港、、金持ちで美貌の男、翡翠のイアリング、ペニンシュラホテル、とくれば、道具建ては完璧です。女をひと時の夢の世界で遊ばせてくれます。
子どもと夫の世話をやきながら、パート勤務を続ける毎日。就寝前のひと時、陽水の「なぜか上海」をラジカセで聞きながら、森さんの「ホテル・ストーリー」など読んで、働く女は今日の疲れを癒します。
森さんには、少なくても七十歳までは生きて、老いと向き合う女の姿を描いてほしかった。五十二歳の死は早すぎます。
一部に駄作があっても、その他は、ヴィターチョコレイトの味わいです。

    以上、三宮記

◆次回
 次回の読書会テーマは、
 「受け月」伊集院靜、文春文庫
 日時;6月2日(土) 18時〜となります。
 (書店で購入できない場合は図書館で探して下さい。
 「日本の古書店」「AMAZON」等でも購入できます。)

◆その他
 今年の「文学散歩」は5月20日(日)(予定)です。
 43号の合評会は7月(予定)<7月に出来ない場合は9月になります>

(金田)

◆次回(8月はありません)
 9月1日(土)18時〜
 読書会担当は熊坂さんです。
 読書会テーマ;国木田独歩「春の鳥」
  「牛肉と馬鈴薯・酒中日記」(新潮文庫)に掲載。
 青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)にも掲載されています。

◆その他
 44号は10月末締切とします。
 8月は休みです。
 10月の読書会担当者は河野さんとなります。

(金田)


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