「文学横浜の会」
文横だより
<10月号>平成24年10月8日
じっと目を閉じて遙か昔を思う。
十年や二十年前ではない。
我々の生まれる遙か昔、父や母、そのまたお父さんやお母さん、
そのまたお父さんやお母さん、そのまた…、つまりずっと昔の事だ。
我々とは関係ないと言わせはしない。
君もあなたも、そして近隣諸国の君もあなたも、
我々はずっとずっと祖先の血を引き継いでいる。
そして、ずっとずっと昔の祖先達は国境などと言う概念はなく、
いやいや、国と言う概念などもなく、自由に行き来し、共に生きていただろう。
そうした時間の方がずっとずっと永かった。
そんな事を思うと領土問題などどうでもいい事のように思えてくる。
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文横だより2012年10月号を送ります。
◆出席者
◆読書会テーマ
予想外に好評であったのは菊池寛の小説が押し並べて『どれもまことに分かり易い作品で、
特に、解説を必要とするものとも思えない』(小林秀雄)からでしょうか。口説かれたお梶が早くも
その気になって蝋燭の炎を吹き消したにもかかわらず、口説いた藤十郎が「やってあげなかった」。
その侮辱に耐えられずにお梶が縊死した…。芸域の拡大のためには「女の一人や二人殺したってかまわない」
というテーマについては多数の見解もあり、考えさせられるところでした。
いずれにしても『清貧に甘んじて、立派な創作を書こうという気は、どの時代にも、少しもなかった』菊池寛にとって、
藤十郎もお梶も『There is also a man』であり、それが創作のモチーフになっていたことは否めません。
早々と小説家を卒業して、小説家と読者の橋渡し役に徹した菊池寛の生き様も公私共に多様で、たぶん、
こんなに人生を愉しんだ小説家は、後にも先にも「クチキカン」一人ではないでしょうか。
以上、河野記
◆次回
◆その他
(金田)
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