「文学横浜の会」

 文横だより

<11月号>

過去の「文横だより」

平成24年11月5日


国家間の関係では、
「百年に及ぶ友好国はなく、百年に亘る敵国はない」
と言うような言葉を読んだ記憶がある。

国同士の魑魅魍魎とした駆け引きの中で、
今は反目していても永遠のものではなく、
たとえ今は友好国であってもそれは永遠に続くとは限らない、
とした戒めでもある。

竹島や尖閣諸島を巡る日本と韓国や中国との領土問題も、
100年前ならきっと国家間の全面戦争となり、
50年前なら恐らく島を巡って戦火を交えていただろうし、
今は双方が「ここは我が国の固有の領土だ」と言い合う子供じみた言い合いをしている。

子供じみた言い合いだけに止めて、
50年後、100年後はきっとうまい解決法を見つけ…、
とそうありたいものだ。

双方、時代を絶対に戻してはいけない。

               ★

文横だより2012年11月号を送ります。

◆出席者
 浅田、遠藤、岡部、金田、熊坂、桑田、佐藤、篠田、山下

◆読書会テーマ
 志賀直哉「笵の犯罪」担当者(浅田)
 11月3日(土)18時〜

 笵という奇術師が、妻を的にして際どく当たらぬように、出刃包丁を投げる演芸中に、妻に当てて殺したという事件が起きた。 故意か、過失かという問題を巡って、人間の行為は、論理的に説明できないという点が、追及されている。

 笵は、子供が生まれるまでは、心から妻を愛していた。妻が子供を産んで、それが自分の子供でないと知った時から、 激しく憎むようになった。その最中の出来事である。

 人間社会の法律では、行為の結果が罪とされる。神は、行為の前の、心の想いで、善しか、罪かとされるとすれば。

 笵は、キリスト教の熱心な信者となった。教理書を、熱心に学ぶようになった。妻も、素行が正しい人と他から見られていた。

 しかも、笵は、妻を憎んでいると、率直に告白する。殺してやりたいとさえ思うようになったと。 しかし、自分でも自分の心がわからないとも告白する。 『裁判官は、何かしら知れぬ興奮の湧き上がるのを感じて、(無罪)とペンで書いた。』
 裁判官は、心から無罪と信じたのだ。
 神も、又。??。
 罪とは、人間の視点から、神の視点からのテーゼ。
 太宰は、志賀を主人もちの文学と批判した。  

 出席者から、特に大きな異論はなかったように思える。  

    以上、浅田記

◆次回
 12月1日(土)18時〜
 読書会テーマ;水上勉作「雁の寺」
   新潮文庫「雁の寺・越前竹人形」水上 勉 (著)
   等に掲載されています。
   担当者(山下)。

◆その他
 ・44号の原稿は締切りました。
  枚数が多くなりそうですがそのまま出す事になりました。
  執筆者は、福谷・岡部・遠藤・浅丘・三宮・河野・
       桑田・堀・篠田・金田・佐藤・山下、(以上、敬称略)
       漏れがありましたら連絡して下さい。

 ・新年1月の読書会担当者は岡部さんとなります。

(金田)


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