今年もあわただしい年末がやって来た。
個人的にはそれほど変わらないが、
周りがなんとなくそんな雰囲気なのだ。
そんな年末だけど、小さい頃と比べ、
とっても変わったように思う。
それは私自身が年を重ねたばかりだけではなく、
インターネット等の新しい物や環境によるものだ。
しかし何時までも残っていてほしい事もある。
★
文横だより2014年12月号を送ります。
◆出席者(敬称略)
浅丘、遠藤、河野、金田、金子、佐藤ル、篠田、清水、杉田、松田、山下/藤野
◆読書会
12月6日(土)17時30分〜
読書会テーマ:「蝉しぐれ」 藤沢周平 (著)
担当(松田)
<主な感想など>
・武士に焦点が当てられており、農民の暮らしぶりなどはほとんど描かれていない。
・お互いが交わす言葉の中に方言は出てこなくて、現代の言葉が使われている。
・モデルになった藩がどんな絵図になるのか、文脈をたどって描いていくと、幾つかの矛盾点が見つかる。(時代小説には、時々、こういうことがある)
・情景描写が美しい。
・親子、友だち、父の亡骸を荷車で運ぶ様子、出水時などにおける人々のつながりが情感豊かに描かれている。
・楽しい読み物である。
・藩を企業に、剣をペンに置き換えたら、今のサラリーマン生活にも当てはまる。
・時代小説には、間違ってはいけないポイントがある。例えば、武士はいかなるときでも敵から己を守れるような態勢をとっているように書かなければならない、例えば、就寝中でも刀をどこに置いておくかなど。
・作者は数年にわたる闘病生活、妻の病死、安定した仕事に恵まれないなど、30代半ばまでつらい人生を送った。それらの出来事が明・暗ともに作品に張り付いているようだ。
・切腹、復讐、秘剣の術、上下・周囲との人間関係など、時代小説のエッセンスが詰まっている。
・現代語で書かれているので、読みやすい小説だが、当時の時代や社会の背景は分かりにくい。
・初恋、友情、学問、剣術、争い、刺客等々、これらにまつわる登場人物が多すぎる。しかし、読み物としての完成度は高い。
・矛盾だらけの武士社会において、それぞれの人間が自分の人間性でどう対峙していったのか、つまり、人間はどう生きていったらいいのか、コノあたりが読者の共感を呼ぶのだろう。
・下級武士の哀歓、すなわち、地方(ローカル)の小藩に仕える武士というジャンルが出来上がったのではなかろうか。
・吉川栄治文学賞を受賞した「長塚節」をテーマにした作品を取り上げたほうが良かったのでは。
・全体として懐かしい日本の風土(田んぼや土のにおい、吹き抜ける初夏の風など)や、日本人の心が感じ取れる。
・稲穂の先までといってもいいくらいの細やかな描写がされているが、くだくだしくない。
・士農工商の制度にしばられた厳しい社会のなかで、身の程をわきまえ、ひたすら自分の使命を果たそうとする人間たちが愛情を込めてつぶさに描かれている。と同時に、登場人物に自由の心をもたせているので、ほのぼのとした印象も与える。
・歴史小説と時代小説の区切りをはっきりさせてくれるような小説。
・複雑な現代の家庭、企業、社会のなかで生きていくわれわれにも通じるテーマがそこここに見受けられる。
以上、松田記
◆次回の予定;
担当は佐藤ルさん。
日時;1月10日(土)17時30分〜
テーマは「暗渠の宿」 (新潮文庫) 、西村賢太(著)
書店、AMAZON,「日本の古本屋」又は図書館等で…。
◆その他
(1)1月は第2週の土曜日、10日となります。
(2)2月以降の読書会担当は杉田さん、清水さんです。
<2月の読書会テーマは「一夢庵風流記」隆慶一郎(著)との事です。>
(3)46号の2校は遅れていますが届き次第送ります(赤字の入った作のみ)。
(金田)
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